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  1. 山梨県議会 2021-09-01
    令和3年9月定例会(第4号) 本文


    取得元: 山梨県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-11
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいタブが開きます) 令和3年9月定例会(第4号) 本文 2021-09-29 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ 別窓表示 ダウンロード 表ズレ修正 表示形式の切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者一覧に移動 全 77 発言 / ヒット 0 発言 表示発言の切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示 すべて選択 すべて解除 1 ◯議長(桜本広樹君) 2 ◯猪股尚彦君 3 ◯議長(桜本広樹君) 4 ◯知事(長崎幸太郎君) 5 ◯議長(桜本広樹君) 6 ◯産業労働部長(小林 厚君) 7 ◯議長(桜本広樹君) 8 ◯県土整備部長(大儀健一君) 9 ◯議長(桜本広樹君) 10 ◯教育長三井孝夫君) 11 ◯議長(桜本広樹君) 12 ◯警察本部長(大窪雅彦君) 13 ◯議長(桜本広樹君) 14 ◯猪股尚彦君 15 ◯議長(桜本広樹君) 16 ◯議長(桜本広樹君) 17 ◯副議長(杉山 肇君) 18 ◯藤本好彦君 19 ◯副議長(杉山 肇君) 20 ◯知事(長崎幸太郎君) 21 ◯副議長(杉山 肇君) 22 ◯感染症対策統轄官(小島良一君) 23 ◯副議長(杉山 肇君) 24 ◯福祉保健部長(成島春仁君) 25 ◯副議長(杉山 肇君) 26 ◯環境・エネルギー部長(村松 稔君) 27 ◯副議長(杉山 肇君) 28 ◯農政部長(坂内啓二君) 29 ◯副議長(杉山 肇君) 30 ◯教育長三井孝夫君) 31 ◯副議長(杉山 肇君) 32 ◯山田七穂君 33 ◯副議長(杉山 肇君) 34 ◯環境・エネルギー部長(村松 稔君) 35 ◯副議長(杉山 肇君) 36 ◯望月利樹君 37 ◯副議長(杉山 肇君) 38 ◯林政部長(金子景一君) 39 ◯副議長(杉山 肇君) 40 ◯副議長(杉山 肇君) 41 ◯議長(桜本広樹君) 42 ◯乙黒泰樹君 43 ◯議長(桜本広樹君) 44 ◯知事(長崎幸太郎君) 45 ◯議長(桜本広樹君) 46 ◯総務部長(市川康雄君) 47 ◯議長(桜本広樹君) 48 ◯農政部長(坂内啓二君) 49 ◯議長(桜本広樹君) 50 ◯県土整備部長(大儀健一君) 51 ◯議長(桜本広樹君) 52 ◯乙黒泰樹君 53 ◯議長(桜本広樹君) 54 ◯総務部長(市川康雄君) 55 ◯議長(桜本広樹君) 56 ◯乙黒泰樹君 57 ◯議長(桜本広樹君) 58 ◯議長(桜本広樹君) 59 ◯副議長(杉山 肇君) 60 ◯杉原清仁君 61 ◯副議長(杉山 肇君) 62 ◯知事(長崎幸太郎君) 63 ◯副議長(杉山 肇君) 64 ◯福祉保健部長(成島春仁君) 65 ◯副議長(杉山 肇君) 66 ◯林政部長(金子景一君) 67 ◯副議長(杉山 肇君) 68 ◯農政部長(坂内啓二君) 69 ◯副議長(杉山 肇君) 70 ◯県土整備部長(大儀健一君) 71 ◯副議長(杉山 肇君) 72 ◯副議長(杉山 肇君) 73 ◯議長(桜本広樹君) 74 ◯議長(桜本広樹君) 75 ◯宮本秀憲君 76 ◯議長(桜本広樹君) 77 ◯議長(桜本広樹君) ↑ リストの先頭へ ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桜本広樹君)これより本日の会議を開きます。  この際申し上げます。  本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。  直ちに日程に入ります。  日程第一、知事提出議案第百七号議案ないし第百十二号議案、認第一号議案、認第二号議案、承第八号議案及び承第九号議案を一括して議題といたします。  これより、上程議案に対する質疑とあわせ、日程第二の県政一般についての質問を行います。  この際申し上げます。  今定例会においては、本会議への出席に当たって、原則としてマスクを着用することとしておりますが、質問・答弁で登壇する際や、飛沫感染防止対策を行っている場所での発言は、非着用も可としておりますので、御了承願います。  また、再質問及び関連質問における答弁は、自席において行うことといたします。  発言の通告により、猪股尚彦君に二十分の発言を許します。猪股尚彦君。       (猪股尚彦君登壇)(拍手) 2 ◯猪股尚彦君 私は、自民党誠心会の猪股尚彦です。自民党誠心会の立場から、今定例会に提出されました案件、並びに県政一般について質問いたします。  質問に先立ちまして、コロナ禍に加え、さまざまな自然災害も発生しておりますが、とうとい命を落とされた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。  さて、七月二十三日から東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されましたが、コロナ禍という逆境の中での日本選手団の活躍は、我々に感動を与え、困難に立ち向かう力と勇気を与えてくれました。  その一方で、八月中旬ごろには、日本列島に停滞した前線の影響で広い範囲で大雨となり、九州・中国地方、岐阜県や長野県では七十二時間雨量が過去最大を超え、十一名の人的被害を発生させています。  幸いにも、本県での犠牲者の発生はありませんでしたが、激甚化・頻発化する自然災害の脅威に対し、油断することなく、防災・減災への取り組みを着実に進めることは、なお一層重要性を増していると考えております。  さらに、人々の生命をおびやかし、それまでの生活様式を一変させた新型コロナウイルス感染症が確認されてから一年以上が経過していますが、いまだ収束の見通しはついておりません。  この間、昼夜を問わず、対策に尽力してこられた医療関係者の皆様を初め、全ての方々に、心から感謝申し上げます。  私も二元代表制の一翼を担う県議会の一員として、県民の皆様が、夢と希望と安心を持てる山梨を目指し、誠心誠意、全力で取り組んでまいることをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。  まず、新型コロナウイルス感染症に対応する医師・看護師の確保についてであります。
     この夏は、新型コロナウイルスの従来株と比べて、より感染力の強いデルタ株が全国的に広がった結果、これまでにない規模で感染者が増加したところです。  本県においても、八月には一日の新規感染者数が初めて百人を超えるなど、多くの感染者が継続的に確認され、医療提供体制への影響が、大いに懸念されたところであります。  この窮状に際し、県では、県民の命を守るため、重点医療機関を初めとする多くの関係者の協力を得ながら、入院病床の積み増しに加え、医師や看護師が常駐し、医療を提供する医療強化型宿泊療養施設の稼働、施設等からの退所者の健康観察を行う退所後ケアなどを、短時間のうちに実現させてきました。  また、ワクチンの大規模接種センターをアイメッセ山梨など複数箇所に設置し、ワクチン接種のさらなる加速化を図っていることも承知しております。  こうした取り組みを実現するには、必ず医師や看護師が必要となる一方で、通常の医療等を提供していく際にも、医師・看護師は不可欠な職種であります。  しかしながら、医師・看護師の数は限られており、新型コロナウイルス感染症への新たな対策を講じるには、医師・看護師の確保が最大の課題ではないかと考えています。  他の都道府県では、臨時の医療施設の設置が、なかなか実現しない要因として、主に医師・看護師の確保が困難であることが指摘されています。  このような中、千葉県で自宅療養していた妊婦が、入院の受け入れ先が見つからず、自宅で早産となり、赤ちゃんが死亡したとの痛ましい事例が発生しました。  本県では、このようなことが起こらないよう切に願っておりますが、今後、医師・看護師が確保できず、適切な対策を講じることができないといった事態が起こり得るのではないかと、大いに懸念するところであります。  そこで、全ての県民の命を守るため、新型コロナウイルス感染症への対策を進めるに当たり、医師・看護師の確保に関する県の取り組みについてお伺いします。  次に、事業承継の推進についてであります。  民間調査会社の発表によれば、二〇二一年上半期に県内で休廃業・解散した企業は四年ぶりに増加に転じ、二百二十六件だったと聞いております。  コロナ禍が長期化する中、県や金融機関の資金繰り支援によって倒産は免れた一方で、先行きが見通せないために、事業継続を断念するケースがふえつつあることが懸念される状況にあります。  私の地元の甲斐市で老舗と呼ばれるようなところでも家業を継ぐ者がおらず、経営を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、事業を継続するにはどうすればよいのか悩んでいるという話を聞いております。  県内企業の九九・九%を占める中小企業は本県経済の基盤を支えており、この大切な存在を確実に次世代に引き継いでいくためには、親族内承継や従業員承継、M&Aなど、多様な選択肢を視野に入れて支援していくことが必要になってきます。  県では、ことし四月、親族外承継と親族内承継の二つの部門に分かれていた支援体制を、新たに事業承継・引継ぎ支援センターとして統合し、ワンストップで支援する体制を構築していますが、本センターの利用状況及び、その成果はどのようなものなのか、お伺いします。  また、これに加えて、本年度から事業承継促進事業費補助金を創設し、具体的な承継計画の作成に取り組む中小企業者を対象に、企業価値の簡易算定などに要する経費を助成していますが、センターの利用方法や受けることができるサービスなどを含め、その内容が余り知られていないのではないかと感じております。  県による事業承継施策の積極的な活用に向けて、施策の内容を広く周知していくことが必要であると考えますが、どのような取り組みをしていくのか、お伺いします。  次に、新規就農者への支援についてであります。  二〇二〇年の農林業センサスによると、本県の自営農業に従事する基幹的農業従事者数は約二万五百人であり、五年前の前回調査から約四千二百人減少しております。  さらに、六十五歳以上は七四%を占め、前回調査から約三ポイント上昇するなど、担い手の減少や高齢化が進み、地域農業の衰退を大いに憂慮しているところであります。  県では、これまで、農業生産の維持・拡大を図るため、農業の担い手となる新規就農者の確保に向けた、さまざまな支援を実施した結果、昨年度は三百十四人と、五年連続で三百人を超える新規就農者がおります。  また、高齢化等により営農規模を縮小する農家の農地について、農地中間管理機構を活用して新規就農者を初めとする担い手への集積を推進しており、一定の成果を上げていることも承知しております。  私の地元、甲斐市では、地域おこし協力隊出身の青年が、地域の新たな担い手として農地中間管理機構を通じ農地を借り受け、サツマイモの栽培のほか、加工用の桑の葉の生産や、桑の実摘み取り園などの取り組みを開始しています。  この取り組みは、甲斐市商工会と連携し、地域の特産品の生産強化を図るものであり、このような若い担い手の活躍は、地域活性化につながるものとして、今後の成長に期待しているところであります。  農業従事者の減少や高齢化は全国的な傾向として続くものと予測される中、一人でも多くの就農者が地域に定着し、地域農業を担ってもらえるよう、技術の習得や経営の安定化など、新規就農者の確保・育成に向け、きめ細やかな支援が必要と考えております。  あわせて、耕作できない農地の増加は、荒廃農地の増大にもつながることから、農地中間管理機構を活用し、新規就農者への農地の集積を進めることも重要であると考えます。  そこで、県では、新規就農者への支援について、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。  次に、地下水の採取状況と保全策についてであります。  本県は、県土面積の多くを森林が占める全国有数の森林県であり、豊かな森林が育む清らかで良質な水は、ミネラルウオーターとして日本一の生産量を誇り、全国シェアの四割を占める一大生産地となっています。  私の地元である甲斐市でも、南アルプスに源流を発する釜無川の伏流水を地下からくみ上げ、ミネラルウオーターとして製造販売しており、豊かで良質な山梨のミネラルウオーターを国内外にPRし、浸透させていくことは、本県が進める、やまなし水ブランド戦略の主要な柱であると考えます。  また、本県では、地下水が生活用水の約五〇%、工業用水の約八〇%を占めるなど、生活や産業の基盤となっており、将来にわたり利用できるよう、県民の財産として、守り受け継いでいく必要があります。  このため、県では、平成二十四年十二月に山梨県地下水及び水源地域の保全に関する条例を施行し、地下水の適正な採取の確保を図っていると承知しています。  このような中、先般、大手家電量販店が県内に拠点を設置し、地下水を活用した天然水の販売事業を開始するとの報道がありました。  まさに、ブランド力の高い山梨の天然水を利用して、水ビジネスを展開し、地域経済の活性化につながればと期待されるところですが、一方で、地下水の保全という観点からは、県や市町村は、事業者の大量採取による水資源の枯渇を防止していく必要があると考えます。  また、近年は、外国の企業または個人が、国内の森林を買収するケースが多い地域があると聞いており、農林水産省が毎年実施している外国資本による森林買収に関する調査によると、令和二年は北海道や神奈川県、京都府で十二件、二十二ヘクタールの買収事例がありました。  同調査では、本県でも過去に山中湖村や富士河口湖町で、約一・六ヘクタールの森林が買収された事例があると聞いております。  いずれも利用目的は資産保有や別荘建設などですが、土地所有者の権利は地下にまで及ぶため、今後、地下水の過剰な採取があった場合、水資源の枯渇や地盤沈下を招く可能性もあり、その影響が懸念される状況です。  そこで、本県における現在の地下水の採取状況や保全に向けた取り組みについてお伺いします。  次に、都市計画道路田富町敷島線の整備状況と今後の計画についてであります。  都市計画道路田富町敷島線は、JR竜王駅の交通拠点機能の強化や、竜王駅周辺の交通の円滑化を図るとともに、県道甲斐中央線のバイパス道路として、リニア新駅や新山梨環状道路、釜無工業団地へのアクセス道路としての役割が期待される重要な道路であります。  竜王駅周辺については、平成二十二年までに整備が完了し、JR中央線と立体交差し、国道五二号につながったことにより駅の南北の往来が円滑になり、利便性や安全性も向上するなど整備効果が目に見えてあらわれております。  バイパス区間である国道五二号から国道二〇号までの区間については、現在、工事が進められており、五月に行われた土木森林環境委員会の現地調査では、私も現場に赴き、県の担当者から電線共同溝の施工状況など、工事内容について詳しい説明を聞き、整備が順調に進捗していることを実感しました。  さらに、国道二〇号から南の区間についても、用地買収が相当程度進んでいると聞いており、地域住民からも、この道路の早期完成を期待する声が高まっております。  そこで、都市計画道路田富町敷島線のうち、国道五二号から国道二〇号までの区間の現在の状況と、国道二〇号から南側の今後の見通しについてお伺いします。  一方、この都市計画道路の未整備区間である甲斐市中下条地内に目を向けると、現況は沿道に住宅や店舗が連担し、歩道が片側にしかなく、道幅も狭いことから、朝夕の通勤通学時などは自動車と自転車、歩行者が錯綜し、安全が確保できていない状況にあります。  私のところには、こうした現状を目の当たりにしている地域住民の方々から、歩行者が安心して利用できる道路の早期整備を望む声が多く寄せられております。  県では、国道五二号から南側の区間において、集中的に事業を行っていることは承知しておりますが、私は、残りの甲斐市中下条地内の整備についても進める必要があると考えます。  そこで、甲斐市中下条地内の未整備区間における今後の取り組みについてお伺いします。  次に、通学路の安全確保対策についてであります。  学校を取り巻く生活環境において、近年の集中豪雨などによる自然災害や不審者による犯罪、また、登下校中の交通事故など、子供たちの安全をおびやかす事案は残念ながらなくなる状況にはありません。  特に、登下校中の交通事故にあっては、平成二十四年四月に、登校中の児童等の列に車が突っ込み、児童と保護者が死傷した京都府亀岡市の事故や、バス停で待っていた児童に車が突入し、児童が死亡した千葉県館山市の事故など、痛ましい事故が相次いで発生し、次代を担うとうとい命が奪われてしまいました。  このような状況の中、国は同年五月に都道府県に対し、一斉に小学校の通学路の合同点検を要請し、本県においても、各学校が警察や道路管理者等と連携を図る中で、危険箇所を調査・改善したと承知しております。  しかし、この六月に飲酒運転をしていたトラックにより、小学生五人が死傷する痛ましい事故が、千葉県八街市で発生してしまいました。  死傷した子供たちを悼む関係者の姿を新聞等で拝見するたび、このような事故が二度と起こらないようにすることが、子供たちを守る大人に課せられた責務であると痛感しているところであります。  国は、今般の事故を受け、通学路の交通安全を一層確実にするため、全国一斉の合同点検の実施について改めて要請し、これを踏まえ、本県においても合同点検等が実施されていると伺っております。  児童生徒が安全・安心に通学できる状況を確保するためには、新たな点検結果による対策を速やかに実施することはもちろん大切ですが、通学路にかかわる関係者が、今後とも取り組みを継続していくことが重要であると私は考えております。  そこで、通学路の安全確保に向けて、県教育委員会、道路管理者及び県警察は、これまでどのような対策を講じてきたのか、また、今後どのような取り組みを進めていくのか、お伺いします。  最後に、中部横断自動車道の開通を見据えた長野県との連携についてであります。  先月二十九日、中部横断自動車道静岡・山梨間が全線開通いたしました。長らく待ち望まれていたものであり、大変喜ばしいことであります。  このことにより、長坂から八千穂間が整備される山梨・長野間の全線開通に熱い思いを新たにした人々、沿線自治体も多かったのではないかと思います。  この開通により、物流、産業、防災、医療、観光の五つの面で、県民生活に大きな効果が生まれると言われており、それぞれに重要な要素であると考えますが、私は産業面における効果に大きな期待を寄せています。  長野県の東部、佐久市や川上村、南牧村などからは買い物のため北杜市に、さらには私の地元である甲斐市にも多くの方が訪れていますが、本県は、こうした地域の方々にとって、通勤・通学、医療や買い物などの生活圏域であり、そうした面からも、長野県とのつながりが育まれていると考えます。  今後、山梨・長野間の全線開通により、交通アクセスがさらに向上することを見据えて、これまでの地域間のつながりをさらに強化し、長野県との共存・共栄のため、地域経済の発展に向けて、今のうちからしっかりと準備を進めていくことが重要であります。  本県と静岡県の経済交流、バイ・ふじのくには大変意義深いものであり、知事は、この取り組みを拡大していくこととしていますが、長野県との間でも県域を越えた産業振興に連携して取り組んでいくべきと考えます。  ついては、中部横断自動車道山梨・長野間の全線開通を見据えて、長野県との連携強化にどのように取り組んでいくのか、県の御所見を伺います。  以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 3 ◯議長(桜本広樹君)猪股尚彦君の質疑・質問が終わりました。  これより当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 4 ◯知事(長崎幸太郎君)猪股議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、新型コロナウイルス感染症対策に尽力される方々への感謝の意を表されるとともに、防災・減災への取り組みを着実に進めることが重要とのお考えを示されました。防災・減災の着実な取り組みの重要性につきましては、私も全く同意をするものであります。  今後とも、県民の生命、財産を守り、安心して生活できる社会の構築に向けまして、全身全霊で取り組むことをお誓いし、以下、答弁に入ります。  初めに、新型コロナウイルス感染症に対応する医師・看護師の確保についてです。  新型コロナウイルス感染症への対応に向けました新たな施策を展開する際には、何よりも医師・看護師が必要となるため、限りある人材の中から関係機関と連携して必要人員を確保していく必要があります。  まず、富士河口湖町及び中央市に設置した医療強化型の宿泊療養施設におきましては、山梨大学の全面的な協力のもと、医師・看護師を派遣いただき、抗体カクテル療法や酸素投与などを行っております。  加えて、宿泊療養施設の開設に当たりましては、健康観察を行う看護師を確保するため、県看護協会と連携し、潜在看護師の掘り起こしを行うとともに、人材派遣会社を通じ、全国から看護師の募集を行ってまいりました。  また、退所後ケアにおきましては、医師による定期的な健康観察により安心して自宅で療養できるよう、県医師会と連携し、地域のかかりつけ医などの確保に努めております。  また、ワクチン接種におきましては、県の大規模接種センターや市町村などにおいて従事する医師・看護師を確保するため人材バンクを創設し、県内の医療機関などから広く人材を募っているところであります。  改めまして、この場をおかりいたしまして、御尽力をいただきました関係各位に深く感謝を申し上げます。  今後とも、県民の皆様の命を守るため、新たな施策にちゅうちょすることなく取り組むことができるよう、県医師会や山梨大学などと密接に連携を図る中で、医師・看護師の確保に鋭意取り組んでまいります。  次に、新規就農者への支援についてです。  県は、これまで、新規就農者が就農に必要な技術を習得するため、アグリマスターのもとでの実践的な長期研修や、農業大学校での職業訓練などを実施しております。  また、研修期間中の生活や就農直後の経営安定を図るため、国の農業次世代人材投資事業を活用し、昨年度は就農前の研修生十三名、経営を開始した新規就農者百十名に対して支援を行いました。  このうち地元の甲斐市におきましては、白ネギ栽培を開始した新規就農者は、地域に密着し、「甲斐のぎゅぎゅっとねぎ」としてブランド化し、産地化に向けて中心的な役割を果たしています。  本年度は、引き続き国の事業を活用し、現時点で就農前の研修生十七名、経営を開始した新規就農者百四名への支援を行うとともに、本県独自の制度として、重要な担い手となり得る親元就農を促進する事業をスタートするなど、担い手の確保・育成に取り組んでおります。  あわせて、高齢化などにより、将来的に耕作できなくなる農地につきましては、荒廃する前に新たな担い手に引き継ぐことが重要であるため、市町村が行う地域での話し合いを踏まえ、農地中間管理機構を活用し、新規就農者などへの集積を進めてまいります。  今後も、市町村、JAなどと連携し、新規就農者が栽培技術あるいは経営感覚を早期に習得するとともに、農地を継承し地域農業の担い手として確実に定着できるよう、しっかりと支援を行ってまいります。  次に、地下水の採取状況と保全策についてです。  まず、県内の採取状況についてですが、条例により大規模な揚水設備の設置者に対しまして、毎年度、採取量の報告を義務づけるとともに、独自に採取を規制している市町村からの報告により把握をしているところであります。  それらによりますと、昨年度の採取量は約八千二百万立方メートルであり、主な内訳といたしましては、水道事業者が約六割、ミネラルウオーター事業者が約一割となっております。  次に、地下水の保全に向けた取り組みにつきましては、揚水設備を設置しようとする場合、条例で事前の届け出を義務づけ、事業内容や周辺地下水への影響を勘案し、適正な採取となるよう指導を行っております。  また、揚水設備の設置者には、条例で地下水の涵養努力が義務づけられていますが、特に大規模設備の設置者につきましては、具体的な涵養計画を県へ提出させ、県がその実施状況を確認しております。  さらに、地下水採取による影響を確認するため、県内十カ所の井戸で地下水位を常時監視するとともに、地盤沈下しやすい地層がある甲府盆地におきましては、毎年、沈下量の測定を行っております。  これまでのところ問題となるような地下水位の低下や地盤の沈下は認められませんが、今後、観測用の井戸を追加し、監視体制の強化を図る中で、引き続き地下水の保全に着実に取り組んでまいります。  最後に、中部横断自動車道の開通を見据えた長野県との連携についてです。  中部横断自動車道は、本県経済の発展を支える新たな社会基盤であり、産業の活性化にも寄与するものと認識しております。  静岡・山梨間が開通し、静岡県西部・中京圏とのアクセスが向上したことから、現在、本県が推進する水素・燃料電池分野を、より市場性の高い産業に育てるべく、山梨・静岡両県の強みを生かす広域的な連携について協議を始めたところであります。  長野県においても、超精密加工技術を有する企業が多く存在していることから、山梨・長野間の開通を見据え、長野県の企業が独自の技術を生かして、水素・燃料電池産業へ参入することを促すなど、連携を検討してまいります。  また、静岡県との連携により、さまざまな成果を生み出している本県のメディカル・デバイス・コリドー構想におきましては、国の次世代医療機器連携拠点に採択された信州大学を擁する長野県とも連携を進めていくことにより、医療機器産業のさらなる発展に努めてまいります。
     東京圏に隣接する本県は、静岡・山梨間の全線開通によりまして、交通環境が飛躍的に向上し、物流の拠点としての優位性が極めて高くなっています。  これに加え、さらに、山梨・長野間が開通いたしますと、新潟港、清水港の二つの国際拠点港湾に直結する世界に開かれた地となることから、今後、本県と静岡、長野、新潟の中央日本四県が強固に連携し、世界を視野に入れたビジネスの展開に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。 5 ◯議長(桜本広樹君)産業労働部長、小林厚君。       (産業労働部長 小林 厚君登壇) 6 ◯産業労働部長(小林 厚君)猪股議員の事業承継の推進についての御質問にお答えいたします。  まず、事業承継・引継ぎ支援センターの利用状況及び、その成果につきましては、事業の譲渡、承継方法、税務対策などについて、本年度八月末で、昨年度を大きく上回る延べ二百六十件の相談がありました。  相談を受けた後、センターできめ細かくサポートした結果、譲渡先とのマッチングが整い、成約に結びついたものは八月末で十件となり、昨年度と比べ、倍増しています。  これは、センターが業務統合のメリットを生かし、個々の企業の状況を十分に踏まえ、第三者承継に向けたマッチングや親族内承継に向けた計画策定など、幅広い方策を用意した成果であると考えております。  次に、施策内容の周知につきましては、商工団体や金融機関などで構成する事業承継ネットワーク会議を組織し、メンバーを通して経営者へ県やセンターの支援策の情報を提供しているところであります。  今後は、事業承継への課題意識が薄い方にも関心を持っていただくため、成功事例を県ホームページや商工団体の機関誌に掲載し、事業承継を、より身近なものとして捉えていただけるよう周知してまいります。  さらに、関係団体が行う企業訪問や経営相談など、あらゆる機会を通じて支援が必要な経営者の掘り起こしを進め、県やセンターの支援制度の積極的な活用を働きかけ、事業承継を強力に促進してまいります。  以上でございます。 7 ◯議長(桜本広樹君)県土整備部長、大儀健一君。       (県土整備部長 大儀健一君登壇) 8 ◯県土整備部長(大儀健一君)猪股議員の御質問にお答えします。  まず、都市計画道路田富町敷島線の整備状況と今後の計画についてであります。  甲府都市圏西部の南北軸である県道甲斐中央線は、幅員が狭く、東西軸である国道二〇号や国道五二号などの交差点で慢性的な渋滞が発生しており、バイパスとして田富町敷島線の整備を進めております。  これまでに、JR中央線との交差部などにおいて整備を順次進めてまいりましたが、国道五二号からアルプス通りまでの区間と、甲斐市中下条地内が未整備区間となってございます。  このうち、国道五二号から南の区間につきましては、国道二〇号までの供用予定を、令和五年度早期として、道路改良や電線共同溝などの工事を進めております。  さらに、国道二〇号からアルプス通りまでの区間につきましては、これまでに約八割の用地を取得したところであり、本年度から順次工事に着手してまいります。  また、中下条地内におきましては、道路幅員が狭く、歩道も十分に整備されていないことから、車両や歩行者の安全確保が課題となっております。  このため、道路を拡幅し、両側に歩道を設置することとしており、地元の御意見を丁寧に伺いながら事業化に向けて準備を進めてまいります。  次に、通学路の安全確保対策についてであります。  早期に通学路の安全を確保するためには、毎年実施している合同点検で抽出された危険箇所について、関係機関が速やかに効果的な対策を実施していく必要があります。  道路管理者においては、現地の状況に応じた可能な対策を迅速に実施し、早期に効果が発現するよう努めております。  例えば、交差点で歩道への車両の進入を防止する防護柵や、通学路であることをドライバーに注意喚起するグリーンベルトなどを整備しております。  また、安全確保には歩道の設置が最善であり、計画的に整備を進めておりますが、用地取得に時間を要するため、まずは既設水路にふたを設置して、歩行空間を確保するなどの応急対策も講じております。  これまでに、六百十八カ所の要対策箇所のうち、令和二年度末時点で五百四十三カ所の安全対策が完了したところであります。  今回の事故を受けまして、実施中の合同点検で新たに必要となる箇所につきましても、これまでと同様に関係機関と連携して迅速な対策の実施に努めてまいります。  以上でございます。 9 ◯議長(桜本広樹君)教育長、三井孝夫君。       (教育長 三井孝夫君登壇) 10 ◯教育長三井孝夫君)猪股議員の通学路の安全確保対策についての御質問にお答えいたします。  県教育委員会では、毎年、関係者による山梨県通学路対策会議を開催し、情報共有を図るとともに、市町村教育委員会に対しまして、定期的な合同点検と対策を実施し、それらの結果を公表するよう求めてまいりました。  また、子供を見守るスクールガードに対する講習会を開催し、講話や実践事例等を通じて、通学路の安全対策に関する最新の情報を共有するなど、より安全かつ安心な見守り活動が行われるよう支援してまいりました。  千葉県八街市の事故を受けた、去る七月の国による合同点検の要請に対しましては、県では直ちに道路管理者や警察等の関係者による、通学路の緊急安全対策連絡会を開催し、点検内容等を協議いたしました。  会議におきましては、合同点検において国が新たに示した「車の速度が上がりやすい」「大型車の進入が多い」といった観点に、防犯や防災など県独自の観点を盛り込んだ上で、全県下で実施することとしたところです。  県といたしましては、今後、市町村の合同点検による危険箇所の抽出と、その対策案がまとまり次第、関係機関に対して対策を速やかに実行するよう要請し、その後の対応についてフォローアップしてまいります。  以上でございます。 11 ◯議長(桜本広樹君)警察本部長、大窪雅彦君。       (警察本部長 大窪雅彦君登壇) 12 ◯警察本部長(大窪雅彦君)猪股議員の通学路の安全確保対策についての御質問にお答えいたします。  平成二十四年四月以降、全国において登下校中の児童が被害に遭う交通事故が相次いで発生したことを受け、県警察では関係機関と連携した通学路の合同点検を実施し、信号機や横断歩道などの交通安全施設の整備等を進めてまいりました。  本年六月に千葉県八街市で発生した交通死亡事故に際しましては、事故の翌日から、通学路において地域住民などと連携した見守り活動や、悪質、危険な違反を中心とした交通指導取り締まりを集中的に行うとともに、夏休みを迎える前の児童約二万八千人に対し、緊急の交通安全講話を実施いたしました。  また、飲酒運転がこの事故の要因の一つとされたことを踏まえ、県内の事業所などに対し、飲酒運転根絶に向けた取り組みの徹底を要請したところであります。  今後の取り組みといたしましては、現在実施している教育委員会、道路管理者などとの通学路の合同点検結果を踏まえ、速度規制などの交通規制の見直しによるソフト面での対策と、信号機などの整備によるハード面での対策を組み合わせるなどした対策について検討を行い、可能なものから実行に移してまいります。  また、関係機関と連携した通学路における合同点検や見守り活動などを継続して実施するとともに、飲酒運転根絶に向けた交通指導取り締まりや広報啓発活動などを強力に推進するなど、児童が安全に安心して通学できる交通環境づくりを進めてまいります。  以上でございます。 13 ◯議長(桜本広樹君)当局の答弁が終わりました。  猪股尚彦君に申し上げます。再質問はありませんか。 14 ◯猪股尚彦君 ありません。 15 ◯議長(桜本広樹君)これより、猪股尚彦君の一般質問に対する関連質問に入ります。  この際申し上げます。  関連質問については、その冒頭に関連する事項を具体的に発言願います。  関連質問はありませんか。       (「なし」と呼ぶ者あり) 16 ◯議長(桜本広樹君)関連質問を打ち切ります。  これをもって、猪股尚彦君の一般質問を打ち切ります。  暫時休憩をいたします。                                          午後一時四十二分休憩       ───────────────────────────────────────                                          午後二時零分再開議 17 ◯副議長(杉山 肇君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  発言の通告により、藤本好彦君に二十分の発言を許します。藤本好彦君。       (藤本好彦君登壇)(拍手) 18 ◯藤本好彦君 未来やまなしの立場から県政一般について質問します。  初めに、新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬の開発について伺います。  感染力が強いデルタ株による爆発的な感染拡大は県内にも波及し、先月の感染者数は二千人を超えて、一カ月当たり過去最多となり、病床等使用率も先月中旬に八割を超えるなど、医療提供体制に深刻な影響が生じる段階となりました。  こうした状況を踏まえ、今後、起こり得る可能性のある最悪の事態をも想定しながら、新型コロナウイルス感染症克服のための準備を進めるべきだと考えます。  具体的には、希望される全ての方への早期のワクチン接種と治療薬の開発であり、この両輪がそろわなければなりません。  ワクチン接種は加速化される一方で、十二歳未満の児童やアレルギーがある方などは接種ができないため、治療薬の開発を期待されている方も多いと思います。  また現在、世界各国の製薬会社等において、治療薬の開発が加速しています。特に話題となっているのは、本県出身の大村智博士が発見した抗寄生虫病の特効薬イベルメクチンであり、既に北里大学病院では、イベルメクチンの治験を前進させています。  新型コロナウイルス感染症を早期に収束させるためには、こうした新たな治療薬が重要だと考えます。  そこで、新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬の開発に関する県の御所見をお伺いします。  次に、遺族会活動の継承について伺います。  昨年十月に総務省が公表した人口推計によると、日本の人口のうち、戦中・戦前生まれが占める割合は約一五%で、昭和から平成、令和へと時代が移りゆく中、戦争を体験していない世代が大多数を占めています。  若い世代からは、「戦争は遠い昔の話」「自分たちには関係ない」という声が聞かれ、戦争が記憶から歴史に変わりつつある現状に、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう、戦争の悲惨さ、平和の大切さを伝えていくことの必要性を強く感じています。  私は、毎年必ず沖縄を訪れ、いまだふるさとに戻れず、かの地で眠る戦没者の御遺骨の収集活動を行うとともに、甲斐の塔慰霊祭に参列し、戦没者のみたまに哀悼の意を捧げ、遺族の皆様の御苦労に対して敬意をあらわし、世界の恒久平和に向けた決意を新たにしています。  戦没者の遺族で構成される一般財団法人山梨県遺族会では、英霊の顕彰と慰霊を行うため、沖縄県などへの慰霊巡拝や遺族大会を開催しています。  また、遺族会女性部では、これまでも戦没者の家族による寄稿集を出版していますが、戦後七十五年に当たる昨年、戦地から家族に宛てた手紙を編集した「戦地からのたより」を発刊し、戦争の真実を伝える貴重な記録として、市町村遺族会や図書館などに配付したと伺っています。  戦争を経験した方々から直接話を聞く機会が減少していく中、このような遺族会の活動は重要性を増し、地道に地域で続ける遺族会活動の継承は不可欠であると考えます。  しかしながら、年々、会員数は減少し、高齢化も進んでいることから、活動の衰退が危ぶまれます。将来に向けて遺族会の活動を継承していくには、戦没者の遺族に限らず、若い世代を初め幅広い年齢層の方々が、戦争の悲惨さを知り、平和な世の中をつなげていこうという機運の醸成を図ることが必要と考えますが、県の御所見をお伺いします。  次に、県立農林大学校森林学科の開講について伺います。  令和四年四月に県立農業大学校を農林大学校に改称し、森林学科を開講されることを私は待ち望んでいます。  開講まで半年となり、残された期間内に、学生を迎え入れるための十分な準備を進める必要があります。  県森林総合研究所を活用して行う森林学科の専門教育は、最先端の知見を持つ研究員や、実習林の活用などの利点がある一方で、研究施設と教育施設では求められる機能が大きく異なります。  また、教養課程の教育や農業分野の教育との連携という観点から、北杜市にある本校との距離は大きな足かせとなるのではないかと心配しています。  こうした課題も踏まえ、まず、学生の教育環境を整えるための準備状況についてお伺いします。  次に、学生の募集についてですが、本県に隣接する長野県や静岡県を含め、国内には林業の担い手を育成する教育機関が、既に二十一校設置されています。  こうした中、新たに設置する本県では、まず、その存在を知ってもらうことが重要であり、さらに、東京圏に隣接する立地条件や教育面での特徴、県有林を中心とした豊かな自然環境などを広報し、卒業後には県内林業の一翼を担える人材を広く募ることが必要だと考えますが、その取り組み状況についてお伺いします。  次に、県立農林高校との連携について伺います。  森林学科の開講は農林高校生の新たな進路の一つとして、進路の接続が強化され、五年一貫教育を連想させるものであり、県内の高校を対象にした推薦入試枠の設定は大変よい制度だと評価しています。  農林高校は、本県では唯一、林業の専門課程を持つ高校であり、明治三十七年の創立以来、森林を守り育てる林業事業体の従事者や、地域社会を担う職業人の育成を目指したカリキュラムが展開されています。  私は、森林学科が県内に設置された専門教育機関として、農林高校との連携を強化し、その教育にも一定の役割を担う必要があると考えますが、御所見をお伺いします。  次に、外来種対策について伺います。  自然環境の中で、さまざまな動植物が生息・生育し、国内でも有数の生物多様性に富んだ、豊かな生態系が形成されている本県にも、さまざまな外来種が侵入し定着するなど、生態系や県民の生活に影響を及ぼすことが気がかりです。  国は、特に生態系や人の命、身体等に影響を及ぼすおそれがあるものを特定外来生物に指定し、飼育、栽培、譲渡など禁止され、オオキンケイギクとアライグマもその一つです。  近年、県内の河川敷などでよく目にする、この黄色い花のコスモスに似た植物は、繁殖力が強く、丈夫な性質のため、在来の野草の生育場所を奪い、生態系に影響を及ぼすほか、土手の弱体化など防災面での影響も指摘されています。
     同じく、アライグマも県内で急速に生息範囲を広げ、最初にアライグマが捕獲されたのが平成八年度、平成二十一年度には十頭と、初めて二桁となり、その後十一年で約二十五倍にまで増加し、昨年度は二百四十五頭が捕獲されています。  アライグマは、農作物の被害や民家に住みつき、ふん尿被害をもたらすほか、感染症など健康被害が懸念されており、私の地元、南アルプス市においても、果樹の食害や国の重要文化財の建物被害などが生じています。  また、外来種は、世界文化遺産である富士山にも侵入し、富士スバルラインの料金所周辺でもオオキンケイギクが確認されています。  特に、登山者や観光客が無意識のうちに種子を持ち込むことなどにより、五合目以上の標高の高いところに、本来、標高の低いところに生息する植物が侵入するなど、違う意味での外来種問題も生じています。  本県の豊かな生態系を外来種から守るためには、外来種に対する県民の理解を深めるとともに、市町村や民間団体などが連携した、地域における取り組みを促進することが重要だと考えます。  そこで、県は国内有数の生物多様性に富んだ生態系を守るため、外来種対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いします。  次に、アニマルウエルフェアの取り組みによる持続可能な畜産経営について伺います。  今からおよそ三十年前、私が小学生のころ、地元の南アルプス市では、近隣の多くの農家が果樹農業とともに、小規模の畜産を営農活動に組み入れており、その光景を目にする機会が身近にありました。  私の家でも、小学校四年生まで豚を、六年生まで鶏を飼育していました。時には、夜遅くに祖母に手を引かれ懐中電灯を照らし裏の豚舎に向かい、お産に立ち会い、お腹に残った子豚をひっつり出すこともありました。  また、ふ化したひなが、私の後をついてくることもありました。祖父は「豚のことは豚に聞け、鶏のことは鶏に聞け」と言っていたのを今でも覚えています。  国は、本年五月に、みどりの食料システム戦略を策定し、畜産における環境負荷の低減では「科学的知見を踏まえたアニマルウエルフェアの向上を図るための技術的な対応の開発・普及」と明確に記されました。  食の安全・安心が求められる今日、家畜が快適に暮らすことのできる環境を維持し、健康を確保するための必要な条件がアニマルウエルフェアにはあり、そこから安全性の高い畜産物が供給されると認識されています。  県内には、アニマルウエルフェアに先進的に取り組む畜産経営者がおり、あわせて県では、本年度、生産現場でのアニマルウエルフェアの普及と、消費者への理解を深めるアニマルウエルフェアの認証マークの作成など、生産者と消費者が、より密につながる制度をつくられたことを大変評価します。  一方、人にも豚にも鶏にも牛にも環境にも優しい、いわゆる持続可能な畜産経営のために、アニマルウエルフェアに興味のある新規就農者などに対する戦略が必要であり、本県のアニマルウエルフェアによる山梨県型畜産経営を学ぶことのできる環境を整え、アニマルウエルフェアに特化した畜産経営を学ぶのだったら山梨にと、そのような流れを実践者の方々の協力を仰ぎ、関係機関が一体となり、切れ目のない人材育成を行うことが大変重要であると考えます。  本県においても、持続可能な農畜産業のために、生き物も健康で環境にも優しい畜産経営を担う人材の育成とともに、アニマルウエルフェアの取り組みについて消費者を含め、理解を深めることが必要です。  そこで、アニマルウエルフェアの取り組みによる、人にも豚にも鶏にも牛にも環境にも優しい、持続可能な畜産経営の維持・発展に向け、県では、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。  次に、有機農業など生物多様性に配慮した農業の推進について伺います。  みどりの食料システム戦略では、有機農業の取り組み面積の増加を目指す中、本県では、野菜などを中心に有機栽培を実践する農家が増加し、新規に有機農業を開始する農家もふえています。  現在、農業大学校では、野菜における有機農業を実践する担い手を育成するためのコースを設け、有機農業の基礎的な技術の習得を行っています。  しかし、農業大学校で有機農業を学ぶ期間は約九カ月と、十分な技術の習得を行うには短期で、研修終了後の支援に加え、果樹においても有機農業を学ぶ機会を設けるなど、多様な有機農業の就農に結びつけることが、より重要です。  そこで、農業大学校では有機農業の担い手を育成するために、どのような教育を行っていくのか、さらに、農業大学校の研修生が就農後、安定して有機農業を継続できるよう、県はどのような支援を行っていくのか、お伺いします。  また、本県で有機農業を実践している農業者は、野菜と米で増加していますが、果樹では、有機農法の指導者が少ないことに加え、病気の発生など技術的なことや消費者の理解、虫など生き物への理解が進まないことにより、有機農業を実践している農業者は少ないのが実態です。  本県農業を脱炭素・脱農薬・脱化学肥料など、より持続可能な方向に前進するには、本県の基幹品目である果樹を、より生物多様性に配慮した農業へ転換することが欠かせません。  農業者との営農意識の共有を図り、その方向に向かうことは、果樹栽培に取り組む農業者の健康な農業経営を実現し、農地の健全化にも寄与するものと考えます。  果樹農業を現在の慣行農法から環境保全型農業へ、次には化学肥料・化学農薬の使用量を半減する特別栽培農産物へ、最終的に有機農業に挑戦するなど、植物や人、虫や鳥や動物などの生態系や環境にも優しい、持続性の高い農業を実践する農家を育成していくことが必要であると考えます。  本県では、新規就農者の技術の習得のため、現在二百八十人のアグリマスターが認定されていて、そのうち果樹は百八十二人、六五%を占め、果樹のアグリマスターの中にも、環境に配慮した栽培を行っている方もいます。  本県果樹において、持続性の高い農業を実践する担い手をふやすためには、本県の基幹果樹であるスモモ、桃、ブドウにおいて、就農前の研修から学ぶことが重要であり、生物多様性に配慮した農業を実践するアグリマスターを着実にふやすことが必要と考えますが、県の御所見をあわせてお伺いします。  次に、在来種の維持・活用の推進について伺います。  新型コロナウイルスや気候変動の激化によって、食料を輸入に頼ることに大きな不安を抱える時代が訪れました。  私たちの国の食料自給率は、ここ三十年で約二割減少している上に、農産物の種子、とりわけ野菜の種子は九割が海外でつくられていることが報告されています。  自給率の高い地域がふえれば、自然災害などに対しても回復力を高めることができます。食の地域循環は地域の自給率を上げ、農村地域の経済を支える大事な基盤となっていて、私たちのふるさとをつなぐ礎です。  そのような中、地域の食を支えてきた在来種が、今、急速に姿を消しつつあり、世界では百年で七五%の在来種が姿を消したといわれています。  在来種は、地域の郷土食・伝統食の文化や経済を支えてきただけでなく、同時に栄養に富んだものが多く、また、地域の気候や土に適合していて、気候変動にも強いと言われています。  今後、気候変動の激化に伴い、さらに病害の増加も予想される中で、このような多様な遺伝資源の価値は再認識されてくるはずです。  現在、本県や国においても、在来種を守る条例や法律はありません。御承知のとおり、市場の競争に任せていけば、特定の品種が食品流通を抑え、多様な品種は少数の品種に淘汰されてしまいます。  在来種の保全に取り組む農業者の支援の強化に加え、JAや自治体などの関係機関と連携し、失われつつある貴重な在来種の重要性を認知してもらうための啓発に力を入れるとともに、種の交換や採種技術の向上のための機会の提供、その活用方法の啓発を推進することが必要だと考えます。  そこで、現在、在来種がどの程度栽培されているのか、また、維持と活用法の展開について、どのように推進していくのか、御所見をお伺いします。  次に、米国産スモモの輸入解禁を踏まえた県内産地への対応について伺います。  本県のスモモは、国内生産のおよそ三割を占める日本一の産地を形成しています。  こうした中、先月、米国産スモモの輸入が解禁され、私の地元、南アルプス市のスモモ農家からは、「生産したスモモが売れなくなるのではないか、米国から輸入するなら、こちらからも米国に輸出すべき」、消費者からは、「収穫後にポストハーベスト農薬が使われている可能性のあるスモモを食べて健康に影響がないのか」。また、病害虫の侵入を心配する声も上がっています。  本県では、江戸時代から生産者の営農努力により、スモモの栽培が盛んに継続していますが、今回の輸入解禁により、本県スモモ産地が発展するならばともかく、決して衰退するようなことがあってはなりません。  そこで、この輸入解禁を踏まえ、県内産地への対応を今後どのようにしていくのか、県の御所見をお伺いします。  最後に、養護教諭の資質向上と業務への支援について伺います。  いじめや不登校の問題、また、最近では新型コロナウイルス感染症やヤングケアラーの問題など、児童・生徒にかかわる近年のさまざまな問題の複雑化や多様化に伴い、校内において養護教諭に求められる専門性や役割は、ますます高まっています。  これまでのけがなどの救急措置や健康診断・健康相談、学校の環境衛生に係る業務だけでなく、学校には登校することができても、教室に入れずに保健室に通う、いわゆる保健室登校の児童・生徒への対応が近年ふえていると聞いています。  学校教育は、どうしても教壇に立つ教員に目が向けられがちですが、学校運営の中で、子供たちの心身ともに健康な姿を支えている養護教諭の役割が重要であることを忘れてはなりません。  現場の教職員からは、「子供たちは、私たちに話してくれないことも養護教諭には気兼ねなく話をしている」とか「児童・生徒のメンタルのケアに養護教諭が果たしてくださっている役割が非常に大きい」という声が上がっています。  また、児童・生徒からは「保健室の先生がいると落ちつく」といった声も聞かれます。  このように、養護教諭は教職員や児童・生徒から頼られる非常に重要な存在ですが、本県において養護教諭は、令和三年度に、小中学校合わせて二百四十六校に二百五十名が配置され、一校当たりおよそ一・〇二名となっています。これは言いかえると、ほとんどの学校で一人配置ということです。  私は国の基準が見直され、養護教諭の複数配置も可能とすることが必要と考えています。初めて配属になった養護教諭は、一人配置ということもあり、同じ職種の先輩から学ぶ機会が少ない中で、最初から児童の養護を司る専門職として役割を担うことを期待されているのが実態です。  私は、子供たちの心身や健康な姿を支えている養護教諭の資質向上が重要であるとともに、教員と同様に先輩職員による初任者のサポートを含め、養護教諭の業務を支えていくことも、また非常に重要であると考えます。  そこで、養護教諭の役割がますます高まる中、養護教諭の資質向上と業務への支援にどのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いします。  以上で終わります。御清聴ありがとうございました。 19 ◯副議長(杉山 肇君)藤本好彦君の質疑・質問が終わりました。  これより当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 20 ◯知事(長崎幸太郎君)藤本議員の御質問にお答え申し上げます。  初めに、県立農林大学校森林学科の開講についてです。  森林学科では、林業の現場で即戦力となる高度な知識と技術を備え、将来、林業経営体の中核を担う人材の育成を目指しており、来年四月の開講に向け、その教育環境を整えていく必要があります。  このため現在、森林総合研究所におきまして、講義室を設置するための施設改修を初め、本校とのオンライン通信機器の整備や実習用レーザー測量機の導入などの開講準備を進めているところです。  学生募集につきましては、森林学科の特徴や本県林業の魅力を伝えるイメージ動画を活用し、県内外の高校での説明会や移住相談会などでPR活動を展開しているほか、この動画をユーチューブやSNSで広く配信しています。  あわせて、年間最大百五十五万円の給付金制度や地元町有住宅の貸与など、学生生活を支える恵まれた環境をPRし、将来本県において林業に従事する意欲がある方々に幅広く入学を働きかけてまいります。  農林高校との連携につきましては、新学科の講師による特別授業に加えまして、最先端の研究活動や教育環境を紹介する見学会の開催など、交流の機会を積極的に設けることにより、高校生の林業技術に対するより深い学びへの意欲を高めてまいります。  次に、在来種の維持・活用の推進についてです。  県では、現在、あけぼの大豆や鳴沢菜、丹波きゅうりといった野菜のほか、水稲、粟など、約二十種類の在来種の生産を確認しており、これらは地産地消を通じて地域の食や文化を支えていることから、生産の維持はもとより、積極的な活用が重要であると考えています。  このため、市町村やJAなどの関係機関と連携して、在来種の特徴や栽培情報を共有するとともに、新たに栽培を始める生産者の掘り起こしや組織化など、生産の拡大に取り組んでまいります。  また、本県の在来種の認知度を高めるため、例えば、賀茂なすや、えびいもといった全国に知られ、少量生産でも経営が成り立つ京野菜のような新たなブランドを目指してまいります。  具体的には、在来種の活用は本県の魅力発信にもつながることから、農産物直売所などでの販売のほか、加工品の開発、学校給食関係者への利用促進に加えまして、本年度はシェフ向けの食材紹介ホームページへ掲載するなど、幅広く活用されるよう取り組んでいきます。  さらに、本県で活躍するシェフなどが県産食材を活用したメニューづくりに取り組む、美食コンソーシアムに対しまして、在来種の利用を働きかけ、食材としての新しい魅力づくりを図ってまいります。  今後とも、市町村やJAなどの関係機関と連携しながら、消費量の多い野菜の生産振興とともに、在来種につきましても、地域の特色を踏まえた維持とそして活用を推進してまいります。  次に、米国産スモモの輸入解禁を踏まえた県内産地への対応についてです。  今回の米国産スモモの輸入解禁につきましては、国内産地に全く情報が伝えられない中で進められ、国と産地の信頼関係を損ねることになりかねない事態となっておりました。  このため、今月十七日に本県が先頭となり、全国のスモモ生産量のおよそ七割を占める山梨県、長野県、山形県、和歌山県と各県農業団体とが共同して、国のみならず与党に対しましても、今回の輸入解禁をめぐる対応について厳しく抗議するとともに、今後の産地への対応を強く要請したところです。  具体的には、輸入解禁後の動向と産地への影響分析や丁寧な説明、優良品種への改植や新たな品種開発の試験研究費など産地強化に向けた予算拡充、国内産地への甚大な影響が生じた場合の生産者に対する救済措置などを求めてまいりました。  その結果、国からは、事前周知が不十分であったとした上で、高品質・高付加価値の果樹生産に対して最大限の支援をするとの回答があり、国と県との間において、これを機会に力を合わせ、果樹農業の振興に力を注ぐ新たな第一歩としていくことで合意いたしました。  先ほどは、議員から差し入れをいただきました米国産スモモをいただきました。食味など大変な脅威であると改めて認識をしたところであります。  県といたしても、このような輸入果実に負けないように市町村やJAなどの関係機関と連携して、早急に産地の体質強化に向けた対策を講じてまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当部長等からお答え申し上げます。 21 ◯副議長(杉山 肇君)感染症対策統轄官、小島良一君。       (感染症対策統轄官 小島良一君登壇) 22 ◯感染症対策統轄官(小島良一君)藤本議員の新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬の開発についての御質問にお答えいたします。  現在、新型コロナウイルス感染症の治療薬として、レムデシビルやデキサメタゾンなど五種類の薬が承認され、必要に応じて患者さんに投与されております。  議員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの早期収束に向けては、ワクチン接種の推進とともに、新たな治療薬の開発が不可欠であります。  このため、過日の全国知事会において、新型コロナウイルスを完全に制圧するため、大胆な資金投入を行い、国家的重要戦略として、政府が主導して治療薬の研究・実用化や治療法の確立を実現するとともに、治療薬の研究開発を行う研究機関や企業等に対し、重点的な支援を行うよう緊急提言を行ったところであります。  新型コロナウイルスの一刻も早い収束に向けて、引き続き、全国知事会を通じて、研究機関や企業等の研究開発を積極的に支援するよう強力に国に働きかけてまいります。  以上でございます。 23 ◯副議長(杉山 肇君)福祉保健部長、成島春仁君。       (福祉保健部長 成島春仁君登壇) 24 ◯福祉保健部長(成島春仁君)藤本議員の遺族会活動の継承についての御質問にお答えします。  戦争により、大切な親族を失った遺族みずからが戦争の体験を語り継ぐ遺族会の活動は、戦争の悲惨さ、平和の大切さを伝えていくために大変重要であります。  県では、遺族会の活動を支援するため、遺族大会の開催や、沖縄県や海外の戦地への慰霊巡拝に係る経費に対して助成しております。  こうした遺族会の活動を継承していくためには、議員御指摘のとおり、戦没者の遺族に限らず、幅広い年齢層の方々に戦争の悲惨さを伝え、平和な世の中をつなげる機運を醸成していく必要がございます。  現在、小中学校では、戦争や平和に関する教材を通して学習したり、外部講師を招き戦争体験を聞いたりするとともに、高校では多くの学校が修学旅行で沖縄や広島を訪れ、平和について考える機会を設けております。  また、県立博物館におきましては、年間を通じて甲府空襲で焼けた瓦や焼夷弾の模型などの展示や空襲の悲惨さを伝える映像の上映を行うなど、平和のとうとさを次の世代に伝えていけるよう取り組んでいます。  今後は、遺族会とも連携しながら、SNSや県政出張講座の活用により、戦争の悲惨さと平和の大切さを積極的に発信し、幅広い年齢層の方々に活動が継承されるよう努めてまいります。  以上でございます。 25 ◯副議長(杉山 肇君)環境・エネルギー部長、村松稔君。       (環境・エネルギー部長 村松 稔君登壇) 26 ◯環境・エネルギー部長(村松 稔君)藤本議員の外来種対策についての御質問にお答えいたします。  本県の豊かな生態系を外来種から守るためには、議員御指摘のとおり、県民一人一人の外来種に対する理解を深め、防除に取り組んでいただくことが重要でございます。
     このため、県では、外来種が在来種に及ぼす影響や、個々の外来種の特徴、駆除方法などを県のホームページに加えまして、独自に作成いたしましたリーフレットで周知しているところでございます。  また、県内で急速に分布を拡大しているアライグマとオオキンケイギクについては、市町村や民間団体などを対象とした講習会を開催し、地域において駆除活動に取り組んでもらう人材の育成に努めております。  さらに、富士山科学研究所におきましては、オオキンケイギクと、同じく特定外来生物でありますアレチウリの県内での分布や拡大予測等の研究を行っており、この成果を市町村や民間団体に提供し、効果的な駆除活動に活用していただいております。  一方、富士山では、来訪者の増加に伴いまして、高標高域に従来はなかった植物の分布が拡大しており、昨年度から、駆除を行うボランティアを養成するとともに、五合目周辺に、靴に付着した種子を落とす防除マットの設置を行っているところでございます。  こうした取り組みを通じまして、外来種に対する県民の皆様の理解を深める中で、市町村や民間団体などと連携、協力し、着実に外来種対策を進めてまいります。  以上でございます。 27 ◯副議長(杉山 肇君)農政部長、坂内啓二君。       (農政部長 坂内啓二君登壇) 28 ◯農政部長(坂内啓二君)藤本議員の御質問にお答えいたします。  まず、アニマルウエルフェアの取り組みによる持続可能な畜産経営についてであります。  県では、本年度、欧米では主流となっているアニマルウエルフェアによるブランド化を図るため、県内でその取り組みを実践している畜産農家及び畜産物を新たに認証する制度を検討してまいりました。  これまで、国等の専門家や県内の先進的な農家、消費者団体等を構成員とする検討会議を三回開催し、国際基準や国の指針を踏まえ、畜種ごとに本県の経営形態に合わせた認証基準を議論してきました。  その結果、今月、日本の自治体としては初となる本県独自のアニマルウエルフェア認証制度を創設したところでございます。  今後は、県内の畜産農家を対象とした飼育技術に関する実習を行う研修会や、消費者を対象とした講習会等を開催し、アニマルウエルフェアの理解と普及に努めてまいります。  あわせて、畜産農家の取り組み状況に応じたレベル別の認証基準を、消費者にわかりやすく伝えるロゴマークを作成し、農場と食卓が、より密接につながる新たなブランドとしてPRしていきます。  一方、小規模でも高付加価値化を目指すことができるアニマルウエルフェアの取り組みを、就農相談会や農業情報サイトを通じて広く発信するほか、就農意欲のある方に対しては、トップランナーのもとで研修する場を提供するなど、多様な担い手を確保してまいります。  今後も、畜産農家や消費者と連携し、人にも家畜にも優しいアニマルウエルフェアの活動を通じ、新たなブランド価値の創出とSDGsにも沿った持続可能な畜産経営を目指してまいります。  次に、有機農業など生物多様性に配慮した農業の推進についてであります。  近年、本県の豊かな自然環境のもと、有機農業を目指す就農希望者が多いことから、県では農業大学校に有機農業コースを設置し職業訓練を行っています。  具体的には、訓練の七割以上を栽培実習と農家派遣による実技研修に充て、校内の圃場での野菜約三十種類の栽培や、すぐれた技術を持つ先進農家での実習等を行い、今後も実践を通じた技術習得を進めていきます。  また、有機農業で安定した経営を行うためには、就農前に十分な技術習得を図る必要があることから、訓練終了後に農業法人での研修を紹介するなど、実践力向上への支援を強化してまいります。  さらに、果樹における環境への負荷が少ない技術の習得については、有機栽培等を行う県内先進農家の視察や専門的な講義を実施し、持続性の高い果樹農業を実践する担い手を確保してまいります。  次に、生物多様性等、環境に配慮した果樹農業を実践するアグリマスターの確保について、既に認定されている方に対しては、農務事務所を通じ環境負荷の低減に資する技術情報を提供するなど、環境保全への取り組みを促します。  また、新たなアグリマスターについては、持続性の高い果樹農業に取り組み、研修生へ適切な指導ができる農業者を掘り起こして認定するなど、その増加に努めてまいります。  今後も、就農希望者に対する訓練や研修の充実を図り、有機農業など生物多様性に配慮した農業を実践する担い手の育成に鋭意努めてまいります。  以上でございます。 29 ◯副議長(杉山 肇君)教育長、三井孝夫君。       (教育長 三井孝夫君登壇) 30 ◯教育長三井孝夫君)藤本議員の養護教諭の資質向上と業務への支援についての御質問にお答えいたします。  県では、養護教諭を取り巻く状況の複雑・多様化に対応するため、例えば、新型コロナウイルスの変異株の感染の特徴について研修し、最新の知識の習得を促すなど、常に養護教諭の資質向上に努めております。  また、初任者に対しましては、やまなし養護教諭育成指標に基づき、教職としての素養や養護教諭としての専門性に係る研修を一年間を通して集中的に実施しております。  さらに、経験豊富な養護教諭を指導者として近隣に配置し、お互いの学校を行き来できるようにするなど、初任者が一人配置でも日常的に指導を受けられるサポート体制を整えております。  加えまして、昨年度からは県内の小中学校に統合型校務支援システムを順次導入し、保健日誌や健康診断管理などの情報を一元管理するとともに、異動しても同じシステムを使うことができるようにすることで、業務の効率化と負担軽減を図っているところです。  今後も引き続き、役割がより重要になっていく養護教諭の資質向上と業務への支援に努めてまいります。  以上でございます。 31 ◯副議長(杉山 肇君)当局の答弁が終わりました。  藤本好彦君に申し上げます。残り時間がありません。  これより、藤本好彦君の一般質問に対する関連質問に入ります。関連質問はありませんか。山田七穂君。 32 ◯山田七穂君 藤本議員の外来種対策について関連質問をいたします。  先ほどの質問にもありましたが、昨今、特定外来生物であるオオキンケイギクが県内において生息範囲を広げております。  私の地元、韮崎市においても、国道二〇号線沿いや河川敷などでオオキンケイギクが年々分布を広げており、危機感を抱いている地元有志や韮崎市の職員などで、数年前から駆除活動を行ってきました。  この花が咲き始めたことしの五月、韮崎市が特定外来生物をテーマに富士山科学研究所の研究員を講師に招き特別環境講座を開催し、私も参加いたしました。  講座の後には、国道二〇号線沿いの歩道で駆除活動を行い、一トン以上のオオキンケイギクを駆除いたしたところであります。  また、その翌週には、先ほどの答弁にもありましたが、県が北杜市で開催した外来種の駆除活動に当たる人材を育成するための講習会にも参加させていただきました。  悪天候の中での作業となりましたが、多くの方が参加されたことを御報告申し上げます。  こうした取り組みは、地域における駆除活動を促すものであり、非常に意義のあるものと考えます。  近年、このようにオオキンケイギクがふえてしまった原因の一つとして、きれいな花であるため自宅に持ち帰って栽培をしてしまう人がいるなど、外来種に対する認識が十分でないことが挙げられると思います。こうしたことからも、外来種対策においては、知ってもらうことがスタートであると考えます。  特に、次代を担う世代に、生物多様性の保全をすることの大切さや外来種が在来の動植物に及ぼす影響などを理解してもらうことが重要であり、こうした環境教育を教育委員会と連携を図りながら取り組みを進めるべきだと考えます。  そこで、県は、若い世代に対し、生物多様性や外来種に係る環境教育をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 33 ◯副議長(杉山 肇君)環境・エネルギー部長、村松稔君。 34 ◯環境・エネルギー部長(村松 稔君)外来種対策についての関連質問にお答えいたします。  外来種対策におきましては、県民の皆様に外来種への認識を十分にお持ちいただくということが必要でございまして、特に若い世代の皆さんに環境教育が重要であることにつきましては、ただいまの議員の御指摘のとおりでございます。  中学校や高校におきましては、生物多様性や生態系について学ぶ授業がございますが、これに加えまして、先ほど申し上げましたリーフレットを県内全ての小中学校に配布いたしますとともに、自然環境等の専門的な知識を有する方を派遣するエコティーチャー制度を活用いたしまして、各学校で環境教育を実施していただいているところでございます。  また、八ヶ岳自然ふれあいセンターにおきましては、生物多様性の重要性などについて学ぶことができる講座でありますとか、自然体験プログラムを実施しておりまして、小中学校の課外活動などで活用されているところでございます。  今後も、教育委員会と連携を図りながら、こういった取り組みを進めることによりまして、若い世代の皆様方への環境教育を推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。 35 ◯副議長(杉山 肇君)ほかに関連質問はありませんか。望月利樹君。 36 ◯望月利樹君 藤本議員の県立農林大学校森林学科の開講について、関連質問をいたします。  農林大学校の森林学科は、そのほとんどのカリキュラムが私の地元、富士川町の富士川キャンパスで行われるということで、先ほど知事の御答弁にあったとおり、地元では入学する学生のために町有住宅を用意するなど、開講を心待ちにしているところでございます。  また、地域の林業経営者からは、優秀な林業就業者の確保につながると、大きな期待の声が多数寄せられているところであります。  さて、県では、林業の成長産業化を目指すプランの中で、令和十一年の木材生産量を平成三十年比のおよそ一・七倍、三十三万五千立方とする目標を掲げております。  これを達成するためには、伐採期を迎えた人工林の有効活用をどのように進めるのかが、最大の課題だと認識しているところです。  林業学科において二年間みっちりと林業の専門的な知識と技術を学んだ卒業生が、県内の林業の現場に巣立っていくことにより、林業の成長産業化を支え、課題解決のための大きな力となると考えますが、林業就業者の計画的な確保・育成について県はどのように進めていくのか、所見を伺います。 37 ◯副議長(杉山 肇君)林政部長、金子景一君。 38 ◯林政部長(金子景一君)ただいまの御質問にお答えをいたします。  木材生産量の目標を達成して、その循環利用を進めていくためには、ICTの導入などによりまして、林業の生産性の向上を図った上で、現在約五百名おります現場で働く林業就業者の数を段階的に六百五十名程度にまで増加させていく必要があると考えております。  このため、県では、計画的な林業就業者の確保・育成に向けまして、今回の森林学科の開講のほか、国の制度を活用して、県内外の就職セミナーへの出展ですとか、林業の仕事を体験するツアーの実施、さらには新規就業者に対する三年間の研修プログラムの提供などの取り組みを進めているところでございます。  以上でございます。 39 ◯副議長(杉山 肇君)ほかに関連質問はありませんか。       (「なし」と呼ぶ者あり) 40 ◯副議長(杉山 肇君)関連質問を打ち切ります。  これをもって、藤本好彦君の一般質問を打ち切ります。  暫時休憩いたします。                                          午後二時四十八分休憩       ───────────────────────────────────────                                          午後三時五分再開議 41 ◯議長(桜本広樹君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  発言の通告により、乙黒泰樹君に二十分の発言を許します。乙黒泰樹君。       (乙黒泰樹君登壇)(拍手) 42 ◯乙黒泰樹君 私は、自民党誠心会の立場から、今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問させていただきます。  まずは、昨年から続く新型コロナウイルス感染症における新規感染者の増大と医療体制の逼迫について、適切な判断により被害を最小に抑えるリーダーシップを発揮している長崎知事に敬意を表するとともに、引き続きコロナ対策に尽力していただいている医療関係者を初めとする多くの皆様に、心からの感謝を申し上げます。  第五波と言われる変異株の脅威により、国内全域において医療現場へ大変な負荷がかかり、山梨県においても新規感染者数が一日で百名を超える日があるなど、深刻な状況が続いておりましたが、県民への県独自の要請やさらなる病床確保など、長崎知事の的確な指示により、まん延防止措置も予定どおりの日程にて解除していただきました。  今後も長崎知事を先頭に、経済をとめることなく感染症対策が進められ、感染症に強い山梨県とするため、国とも連携しながら、さらなる施策の充実をお願いするとともに、私も県政発展に向けて全力で取り組むことをお約束申し上げ、以下、質問に入らせていただきます。  最初に、医療機関におけるオンライン診療の推進について伺います。  国内で初めて新型コロナウイルスへの感染が確認されてから一年半以上が経過し、新しい生活様式の普及が進む中、オンラインによる会議や授業が広く導入されており、日常生活を送る上で当たり前の光景となっております。  医療分野に目を向けますと、医療機関、患者ともに感染を防ぐ観点から、いち早くオンライン診療の優位性が注目されたところであり、昨年四月、時限的な規制緩和により、初診からのオンライン診療が可能になるとともに、将来の恒久化に向けて議論が進んでいるものと伺っております。  これを受け、県では昨年度から電子版かかりつけ連携手帳と連動したオンライン診療の導入に向けて鋭意取り組んでいるものと承知しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束が見えない中、感染拡大防止はもとより、患者の受診控えによる医療機関の経営を改善していく観点等から、今後ともより強力に取り組んでいく必要があるものと考えます。  また、オンライン診療は、医療資源を効果的に活用していくことができるため、医師等が少ない僻地での医療や、必ずしも医師等が現地へ赴く必要のない在宅での医療において、大いに威力を発揮するものと期待しているところであります。  しかしながら、オンライン診療は画面越しに患者と接するため、対面診療と比較して得られる情報に限りがあることや、設置に向けた手間がかかる等の理由により、全国的に普及が進んでいないとする報道がありました。  加えて、オンライン診療においては、情報のやりとりについて情報通信機器を介して行うため、患者の個人情報の閲覧等に関し、最大限の対策を講じる必要があることは言うまでもありません。  このような課題を克服し、オンライン診療を普及していくためには、県が主導的役割を果たしていくことが肝要と考えます。  そこで、県ではオンライン診療の推進について、どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。  次に、ヤングケアラーへの対応について伺います。  ヤングケアラーへの支援に当たって、県は、実態を詳細に把握し、今後の施策展開の基礎資料とするため、県内の小学六年生以上の全ての児童や生徒、支援者を対象とした調査を実施したと承知しております。  このように大規模な調査は全国でも例がなく、ヤングケアラーへの支援に関する県の真剣な姿勢のあらわれであると、非常に心強く感じております。  本年三月に公表された国の抽出調査によると、世話をしている家族がいると回答した子供が、中学二年生の十七人に一人、高校二年生の二十四人に一人であること、このうち家族へのケアをする頻度は、ほぼ毎日と答えた子供の割合が最も高い上、平日一日当たり七時間以上世話に費やしている子供も一割程度いることが判明しており、ヤングケアラーの成長や学業への影響が非常に心配であります。  そこで、今回の県の実態調査で判明した県内のヤングケアラーと思われる子供の実態について、その概要を伺います。  さて、今回の調査の実施によって、ヤングケアラーという言葉の認知につながったのではないかと考えております。  私には、障害のある弟がおり、幼少期から家族みんなで弟のケアをしてきましたが、そのことが家族のきずなを強めたり、障害者に対する理解を深めたりするなど、私たち家族を初めとする周囲の人々にとっても大きなプラスになっていると実感しております。
     ヤングケアラーの現状を調査し把握することは大変重要なことではありますが、家族を世話すること自体が悪いこと、不幸なことではないということを丁寧に伝え、ネガティブな面のみに偏った発信とならないよう配慮する必要があると感じております。  同時に、やりたいことができない状態や、学業に支障が出るような状況はあってはならないこと、我慢しなくてよいことを子供たちに正しく伝える必要があると考えます。  また、子供に自分自身がヤングケアラーであると認識してもらうことや、その後どのように行動すればよいのかを丁寧に発信していくことが最も重要であると考えます。  そこで、ヤングケアラーへの支援について、子供たちにどのように周知していくのか、県の所見をお伺いします。  次に、果樹におけるスマート農業の推進についてであります。  全国における、ロボット技術やAIなどの先端技術を活用したスマート農業は、トラクターの自動運転化や、水田の水管理の自動化システムなどがあります。  しかし、本県の果樹産地の場合は、傾斜地や狭小な圃場が多く、水田や畑作地帯で実用化が進められている大型機械を利用した規模の大きい農地でのスマート農業の導入は難しいのが実情であります。  私の地元、山梨市は、県内でも有数のブドウや桃の産地で、熟練した農業者の長年の経験と技術によって産地が支えられてきましたが、農業従事者の高齢化や担い手不足、労働力不足が大きな課題となっております。  こうした中、昨年より、山梨市内の果樹園において、県や民間企業、大学などが構成するコンソーシアムにより、スマート農業実証プロジェクトが進められております。  これは、ブドウ栽培でのAI技術を活用した高品質なシャインマスカットの生産に向けて、たくみの技を見える化する新たな技術実証試験であり、本年六月には、知事を初め関係者を集めた成果発表会が開催されました。  ブドウ栽培で、特に、たくみの技が必要となる摘粒作業において、AI技術により摘粒する粒をスマートグラスに表示し、栽培経験の少ない者でも、熟練した農業者と同等の作業ができるとのことで、私もスマートグラスによる摘粒を体験して、その技術に驚いたところであります。  スマート農業実証プロジェクトで開発されたスマートグラスの技術は、まだ開発途中とのことですが、この技術の早期完成と普及に大きく期待しております。  果樹栽培でのIoTやAI技術などを活用したスマート農業の応用により、たくみの技を見える化して、新規就農者や経験の浅い農業者が早期に栽培技術を習得することで、経営安定や所得の向上ができれば、果樹産地での後継者の確保と育成、ひいては産地の維持・発展につながると考えております。  今後も、果樹農業を発展させていくためには、本県の実態に即したスマート農業技術の実証に加えて、生産現場に積極的に導入・普及を進めていくことが重要だと考えます。  そこで、本県果樹産地におけるスマート農業の取り組みの状況と、この導入・普及について、今後どのように進めていくのか、伺います。  次に、JR中央線東山梨駅付近の跨線橋整備について伺います。  JR中央線が通る山梨市東部の地域は線路で分断され、踏切を渡らなければ行き来できない道路ばかりですが、その一つである県道休息山梨線は、甲州市につながる数少ない幹線道路である上に、この地域の人々の暮らしを支える重要な生活道路であります。  しかしながら、沿線には家屋が密集し、歩道も未整備で道幅も狭いため、通勤・通学で急ぐ車や自転車、歩行者も多く、交通事故の発生も危惧されております。  こうした中、山梨市と甲州市は、連携して市道小原東・東後屋敷線の整備を進めており、JR中央線の東山梨駅付近の跨線橋区間を残して大分工事が進んでいる様子が見てとれます。  両市で整備を進めているこの市道は、県道のバイパス機能もあわせ持つことから、跨線橋区間を県で整備してもらえることは地元にとって大変喜ばしいことであり、この道路の早期完成に大きな期待を寄せるところであります。  さらに、この道路は、東西方向の連絡が悪い山梨市と甲州市を結ぶ新たな交通軸となり、道路ネットワークの強化につながるとともに、西関東連絡道路から中央自動車道の勝沼インターへのアクセス強化になるなど、峡東地域の経済・産業の活性化や地域間交流の促進に大きく貢献するものと考えます。  一方、この道路が通過する東山梨駅周辺は宅地化が進み、朝夕の時間帯には通勤・通学で駅を利用する人の自転車や送迎の車で混雑している状況であり、駅前の整備についても喫緊の課題になっております。  私は、地域の切実な声を受け、これまで幾度となくこの跨線橋について質問してきましたが、今後は県が進める跨線橋整備と、市が進める駅前広場整備が緊密に連携して事業を進めることが重要と考えます。  そこで、県が整備する東山梨跨線橋の今後の取り組みについて御所見を伺います。  次に、山梨市内における河川のしゅんせつについて伺います。  近年は、気候変動の影響により災害が毎年のように起きており、本年も、七月一日からの梅雨前線豪雨により、静岡県熱海市では、盛り土に起因する大規模な土石流が発生し、甚大な被害が生じております。  約八六%が山地である本県においても、盛り土による土石流災害発生が懸念される中、知事は、速やかに緊急点検を指示され、熱海市の被災と同様な箇所についての安全性を確認されたと承知しております。  その後、八月の前線が長期間停滞したことによる大雨では、河川の氾濫等で、全国でとうとい命が失われ、非常に多くの建物が浸水するなどの被害を受けております。  全国各地で豪雨が猛威を振るう状況を鑑みますと、特に富士川などの急流河川が流れ、降雨が集まりやすい盆地地形をなす本県におきましても、いつ未曽有の水害が発生してもおかしくなく、危機感が非常に高まってきていると感じております。  豪雨災害への備えとしましては、従来から、河川管理者によるハード対策が行われており、私の地元である峡東地域におきましても、上流に広瀬ダムや琴川ダムが建設されたことで洪水の調節がなされ、平等川や渋川等で河川改修が進められるなど、洪水に対する安全度は着実に向上していると感じております。  一方で、笛吹川がつくる扇状地では、山間部からの土砂の流れ込みが多い河川もあり、このような河川では、川底が上がることで氾濫の危険性が高まることから、土砂の堆積状況を把握する中で、撤去などを適切に行い、洪水を安全に流下させることも重要になっております。  県では、河川整備とともに河川のしゅんせつにも鋭意取り組んでいただいていることは承知しておりますが、笛吹川の支川を中心に現地を確認しますと、山梨市の市街地を流れる日川におきまして、矢作橋の下流付近で土砂の堆積が見受けられるところです。  日川のような河川周辺に多くの家屋等が立ち並ぶ地域では、一たび氾濫すると甚大な被害が発生することから、対策を急ぐ必要があると思います。  そこで、山梨市内における河川のしゅんせつについて、県の取り組み状況をお伺いします。  最後に、県有地問題について伺います。  昨年の山梨県議会十一月定例会から、本年の六月定例会において、平成二十九年十月に提訴された住民訴訟を含む県有地問題について、さまざまな立場から激しい議論が行われてきました。  私も県有地に関連して山梨県の見解や方向性について質問させていただきました。事前の情報や議員に対する説明が不十分であると感じる点はありましたが、長崎知事を初めとする執行部の皆さんからの答弁を通して、県の主張や今後の訴訟に対する方向性については、私なりに理解させていただきました。  今後は裁判を通して、住民訴訟や富士急行との訴訟について争われていくと思いますが、その裁判結果を注視しながら、山梨県として今後の県有地に対するさまざまな施策へとつなげていただきたいと考えております。  そこで、県有地に関する質問を何点かお伺いしたいと思います。  まず、県有地関連訴訟の進捗状況についてお伺いします。  現在進行している住民訴訟、そして富士急行からの提訴と山梨県における反訴について、現時点での状況と今後のスケジュールについて詳細をお伺いします。  次に、裁判費用の適正金額についてお伺いします。  六月定例会において、富士急行に対して過去の不当利得返還請求を行う旨の説明があり、県として反訴することで損失を取り戻すことが決定されました。  その弁護士費用は、県民感情からしても高額と感じる部分もありますが、得られる利益を旧日弁連報酬等基準で計算した場合には適切な対価であると説明もありました。私も県の主張が全面的に認められ富士急行からお金が支払われるのであれば、この金額についても全く問題はないと考えます。  一方で、県の主張が認められず、これまでの損失を取り戻すことができなかった場合には、これらの弁護士報酬が妥当であったのか、議論がなされるべきとも考えます。  こうした状況も加味する中で、県が考える適正な弁護士費用及び裁判費用についてお伺いいたします。  次に、今後の裁判結果における責任問題についてお伺いします。  山梨県と富士急行の見解には相違があり、今後も裁判を通して争われていくと考えます。ここまで県は、過去の契約やさまざまな状況を精査する中で、その主張の根拠を示してきたと感じております。  一方で裁判結果については絶対ということはなく、住民訴訟に係る検証委員会の中間報告書においても、報告書の内容は、裁判所等の第三者機関が同様の事実認定や法的評価を採用することを必ずしも保証するものではないと明記されております。  今後、裁判結果が確定していく際には、県の主張がどの程度認められると考えているのか、また認められなかった際の責任問題をどう考えているのか、お伺いします。  最後に、県有地を活用するための公平なルールの策定についてお伺いします。  県が考える県有地の活用に対する方針には、多くの皆さんが賛同していると考えています。  一方で、実際に県有地を借りている多くの組織や団体の皆さんは、今後の県の対応について不安を持っている方もいると思っています。  今後、県として、こうした利用者や県民の皆さんに御理解いただくためにも、県有地の貸し出しに関する公平公正なルールの策定が必要だと考えますが、御所見をお伺いします。  以上で私の一般質問は終了させていただきます。  本日、自民党の総裁選挙が行われていると、先ほどもテレビ中継を見させていただきました。既に岸田先生が総裁に決まったというような情報も流れる中で、私もこの山梨県において親交の深い岸田先生が総裁になるということを、大変うれしく思っております。  そうした上で、この山梨県が、県議会議員の皆様と、そして長崎知事を中心に、こうした岸田総裁、堀内先生、森屋先生を初めとする国会議員の皆様とさらに発展できることを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 43 ◯議長(桜本広樹君)乙黒泰樹君の質疑・質問が終わりました。  これより当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 44 ◯知事(長崎幸太郎君)乙黒議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、私の感染症対策に対する御評価や、医療従事者等への感謝の意を述べられるとともに、県政発展に全力で取り組むとの御決意を示されました。  私も、感染症に対して強靱な社会づくりに向けまして、議員とともに引き続き積極的に取り組んでまいる所存でありますので、御支援、御協力を賜りますようお願いをし、以下、答弁に入ります。  初めに、医療機関におけるオンライン診療の推進についてです。  県では、電子版かかりつけ連携手帳と連動したオンライン診療の普及を進めておりますが、この四月にアプリが完成し、現状、約四十の医療機関に導入することとしております。  このアプリは、患者の過去の診療情報などをオンライン上で確認することで、より的確な診断が可能となることから、他の医療機関に向けましても、その優位性を丁寧に説明する中で、さらなる導入を図ってまいります。  また、オンライン診療は、感染拡大防止はもとより、医師の負担軽減や患者の利便性向上が図られることから、僻地医療や在宅医療を行う医療機関に向けましても積極的に導入を促してまいります。  さらに、このアプリでは、日本医師会が医師としての身分を証明する「医師資格証」による電子認証を経ることによりまして、医師のなりすましを防ぐとともに、患者情報を厳格に保護していくこととしております。  なお、医師資格証の取得に際しましては、日本医師会員が無料である一方、非会員は有料であるため、県が全額を負担して取得を促進することとし、所要の経費を九月補正予算に計上したところであります。  今後とも、県が主導的な役割を果たしながら、関係機関と連携を密にし、本県独自のオンライン診療を推進してまいります。  次に、ヤングケアラーへの対応についてです。  県が七月に実施した実態調査におきましては、世話をしている家族が「いる」と回答した児童生徒が全体で六・一%おりました。これは、四月に公表された全国調査の五・一%を一ポイント上回る結果となっております。  そして、これらの児童生徒のうち、家族の世話について「相談した経験がある」ものは一二・四%となっており、全国調査の二三・八%と比較して、相談経験が少ないという実態が見られました。  また、相談したことがない理由につきましては、「誰かに相談するほどの悩みではない」と答えたものが最も多く、「誰に相談するのがよいかわからない」「相談できる人が身近にいない」といった児童生徒の存在も明らかになったところです。  こうしたことから、いずれにしろ今回の調査を通しまして言えることは、行政が向き合うべき課題が、本県に間違いなく存在するということであります。  私は、山梨県は、子供たちが将来への希望や期待を抱き、また、その実現に向けて挑戦できるような地であるべきだと考えております。  御指摘のとおり、子供たちが家族の世話をすること自体は、大変とうといことです。しかしながら、他方におきまして、子供たちが家族の世話を抱え込み、みずからの未来を失ってしまうような事態は、何としても避けねばならず、そのためには、御質問にありましたように、子供たちへの支援の周知が肝要であります。  このため、まずは、ヤングケアラーについての正しい知識を教え、該当すると思う場合には、ちゅうちょせずに相談をできる環境を整えていくことが重要であると考え、今回の調査におきましても、回答しながら自分の現状を認識できるようにするなどの工夫を行ったところです。  また、調査にあわせまして、我慢せずに身近な人に相談することを促すチラシを配布するとともに、今月には、学校を通じまして、困り事に応じた相談窓口を紹介するリーフレットを児童生徒に配布したところです。  今後も、相談することの大切さを説明する啓発動画の作成や、スクールソーシャルワーカーの相談体制の強化などを進め、ヤングケアラーが相談への一歩を踏み出し、支援につながるよう鋭意取り組んでまいります。  次に、県有地問題について幾つかお尋ねをいただいております。  まず、今後の裁判結果における責任問題についてです。  御質問の趣旨が判然といたしませんが、住民訴訟も、富士急行株式会社が起こした債務不存在等確認請求訴訟におきましても、県はもともと被告であり、県民の利益を代表して、その立場を主張していくべき責任を負っております。  加えて、住民訴訟におきましては、原告は過去の知事への賠償責任追及を取り下げましたが、これはまさに中間報告に示されたところを踏まえてのものであると考えられることから、既に裁判上の成果も上がっているところです。  いずれにしろ、県有地は県民全体の財産であり、同社が不適正な賃料での有効性を主張することにより、適正な賃料による負担を免れ、県有地の利用を継続している状態は、早急に正していかなければなりません。  最後に、県有地を活用するための公平なルールの策定についてです。  まず、これまで何度か申し上げておりますが、県有地の貸し付けに関しましては、地方自治法第二百三十七条を初め、関係する法令や条例、規則に基づき行うことが大前提であります。その上で、社会政策上の必要性に基づく減免につきましても、公平公正で妥当な基準として明確化をすべく、現在検討を進めているところであります。  その際は、適法な賃借人の正当な権利が確保されるべきは当然のことですが、県有地は県民全体の財産であることから、時代環境の変化に応じて、行き過ぎた一部の特権的既得権に対し、県民生活の向上のために是正・修正の手を入れるべきは、これもまた政治として当然であると考えます。そして、そうすることこそ、恩賜県有林を御下賜賜った御心に沿うものと信ずる次第であります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。残余につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。 45 ◯議長(桜本広樹君)総務部長、市川康雄君。       (総務部長 市川康雄君登壇) 46 ◯総務部長(市川康雄君)乙黒議員の御質問にお答えいたします。  まず、県有地関連訴訟の進捗の状況についてであります。  損害賠償請求義務づけ請求に係る住民訴訟についてですが、この九月二十一日までに十六回の口頭弁論が開かれ、次回は十二月十四日に予定されております。  原告の現在の請求は、八月二十三日に「訴えの変更申立書」が提出され、過去の知事に対する損害賠償請求は全て取り下げられ、補助参加人である富士急行株式会社に対する不法行為に基づく合計三百六十四億円の損害賠償及び適正な賃料を支払うことなく得た利得に対する不当利得返還の請求のみとなっております。  また、富士急行株式会社が提起した債務不存在等確認請求訴訟及び、これに対しまして、県が同社を相手に不法行為に基づく損害賠償等を求めて提起した反訴につきましては、七月二十日に第二回口頭弁論が行われ、次回、第三回口頭弁論は十月二十六日に予定されているところでございます。  訴訟手続の進行につきましては、裁判所の訴訟指揮権に委ねられておりまして、現時点では、いずれも判決の時期を見通すことができる状況にはございません。  次に、裁判費用の適正金額についてであります。  弁護士費用につきましては、議会各位への説明を経て策定いたしました訴訟代理人弁護士の選任及び報酬に関する指針により定めておりますが、この指針では、弁護士費用を算定する基準として実務上広く用いられている旧日本弁護士連合会報酬等基準を用いております。  これは、令和三年二月議会で議決された修正予算案の審議の際、本会議において提案議員が述べられた提案理由の考え方では、修正後の令和三年度当初予算及び債務負担行為は、旧日弁連報酬等基準により、弁護士報酬を算定することを前提としているため、県としても指針を定めるに際して、同基準によることとしたものでございます。
     また、裁判費用のうち主なるものとなる反訴を提起する際の手数料については、民事訴訟費用等に関する法律により、請求額に応じて金額が定められているところでございます。  なお、民事訴訟において請求額が多額となる場合は、債権額の一部を明示した上で、訴訟を提起する一部請求が一般的に行われていることから、富士急行株式会社に対する反訴を提起した際も、請求の一部について先に請求することとし、多額となる手数料の出費を回避しているところでございます。  以上でございます。 47 ◯議長(桜本広樹君)農政部長、坂内啓二君。       (農政部長 坂内啓二君登壇) 48 ◯農政部長(坂内啓二君)乙黒議員の果樹におけるスマート農業の推進についての御質問にお答えいたします。  農業者の高齢化や担い手不足が進行する中で、本県農業を持続的に発展させるためには、地域の実情に即したスマート農業の導入が重要であります。  このため、県では、果樹栽培においてIoT機器を利用したハウス内の環境制御技術や、管理作業を軽減するアシストスーツ、リモコンの草刈り機等を導入し、その技術検証を行い、農家への普及に努めているところです。  また、県果樹試験場では、スマートフォンを用いて圃場でも果樹の病害虫診断が容易にできるシステムを開発し、新規就農者を初め、JAや普及センターの指導者にも利用を勧めております。  さらに、本年度から主力品種であるシャインマスカットについて、圃場の温度・光等の環境データや、篤農家の管理データを収集・解析し、飛躍的に生産性を向上させるデータ農業について、その研究・開発や現地実証を進めてまいります。  加えて、現在開発中であるスマートグラスを用いた、たくみの技の見える化技術は、篤農家のすぐれた技術を次世代の担い手に確実に継承できることや、外部労働力の確保が可能となるなど、本県農業にとって画期的なものであり、実証プロジェクトの関係者等と連携して早期確立と普及に努めます。  今後は、このような研究開発や現地実証の成果を踏まえ、本県果樹の実態に即したスマート農業の導入を推進し、農家の経営安定、担い手の確保等につなげてまいります。  以上でございます。 49 ◯議長(桜本広樹君)県土整備部長、大儀健一君。       (県土整備部長 大儀健一君登壇) 50 ◯県土整備部長(大儀健一君)乙黒議員の御質問にお答えします。  まず、JR中央線東山梨駅付近の跨線橋整備についてであります。  県道休息山梨線として整備する跨線橋は、JR中央線を挟んだ東西地域を結ぶとともに、JR東山梨駅へのアクセス機能も担うため、山梨市が実施する駅前整備事業と連携することで、円滑な事業推進が可能となります。  このため、市と協議会を立ち上げて、計画段階から事業実施段階まで調整を行い、一体的に取り組むこととしております。  計画段階におきましては、地域内交通の円滑化や駅利用のための利便性向上が図られるように、市が実施する駅前整備検討業務と調整して、跨線橋の道路予備設計などを実施してまいります。  また、事業実施段階におきましても、地元への事業説明会や測量、調査業務など、市と協同して進めていく予定でございます。  今後も、地元の皆様への丁寧な説明に努め、跨線橋及び駅前整備の事業推進に取り組んでまいります。  次に、山梨市内における河川のしゅんせつについてであります。  山梨市付近は、笛吹川に重川と日川が合流するため土砂が堆積しやすく、氾濫の危険性が高い地域であることから、河道の状況を把握し、適切に管理することが肝要であります。  このため、人家が連坦し、著しく流れが阻害されている区間を対象に、これまでに重川など七河川、二十キロメートルを重点的にしゅんせつしてきたところです。  日川では、日川橋から野呂橋までの三・三キロメートルのうち、緊急性の高い二・八キロメートルが完了し、残る矢作橋下流の〇・五キロメートルの区間につきまして、十一月から着手することとしております。  以上でございます。 51 ◯議長(桜本広樹君)当局の答弁が終わりました。  乙黒泰樹君に申し上げます。再質問はありませんか。乙黒泰樹君。 52 ◯乙黒泰樹君 丁寧な答弁をありがとうございます。  一点、県有地問題についてだけ再質問をさせていただきます。  私は、富士急行への反訴という部分について、なかなか県が主張している現在の金額が、満額支払われるのかなというのは、ちょっと疑問を持っております。  そんな中で、弁護士の費用についても、本来であれば成功報酬を高額に設定するなどして、県民の皆様にも納得してもらえる契約の仕方があったのではないかと思っておりますが、その点について考慮されていたのかということをお聞きするのと、もう一点、県有地の活用の公平公正なルールの作成、今後のスケジュールという部分で、特別委員会が今後どういう形になるかわからないですが、そういった部分の説明を、どのようなタイミングで議員や県民に対してしていくのかというのを、今後の情報発信の仕方についてお答えいただきたいと思います。 53 ◯議長(桜本広樹君)総務部長、市川康雄君。 54 ◯総務部長(市川康雄君)乙黒議員の再質問にお答え申し上げます。  まず、弁護士費用の点でございます。  二月議会におけます「着手金を初めとして最少の経費となるよう努力すること」との附帯決議を踏まえまして、旧日弁連報酬等基準に基づき算定した額よりも大幅に縮減する努力を重ねてきたところでございます。  実際、旧日弁連報酬等基準に基づき算定した場合、本来六億円を要するところ、弁護士とのたび重なる交渉を重ね、一億四千万円余にまで大幅に縮減しました。  また、契約におきましては、県からの反訴を含めた内容としておりまして、反訴を提起する際に必要となる着手金を改めて支払うことがないよう契約条項において定めております。  結果として、約八億円の着手金が一・四億円余に縮減されたということでございます。  加えて、この予算に基づく契約につきましては、旧日弁連報酬等基準を適用しつつ、できるだけ低い経費に抑えるとともに、報酬全体のうちの多くは、裁判を通じて具体的利益が確保されたときに、成功報酬として支払うこととしているところでございます。  これにつきましても、二月議会におけます修正後の債務負担行為の内容のとおりでございまして、そのため四月の専決処分において、新たな債務負担行為の設定はしておりません。  次に、県有地のルールのあり方について、どういった形で説明していくのかということでございます。  今、特別委員会の設置についての議案が昨日提案されているということは承知しております。私どもとしては、裁判に関するものについては、今、司法の手に委ねられているということでございますけれども、貸し付けのあり方、ルールのあり方、また、その賃料、そういったもののあり方については、既に今も継続して貸し出しを行っているということもございますので、そこは速やかに検討を進めていかなければならないと思います。  その議会の場がどのような場になろうとも、私どもとしては、この県有地の貸し付けについては、県民全体の財産であると考えておりますので、きちんと県民の皆様に御理解いただけるような公平公正なルールとなるよう、議員の先生方にも御意見を伺いながら進めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 55 ◯議長(桜本広樹君)再質問はありませんか。 56 ◯乙黒泰樹君 ありません。 57 ◯議長(桜本広樹君)これより、乙黒泰樹君の一般質問に対する関連質問に入ります。  関連質問はありませんか。       (「なし」と呼ぶ者あり) 58 ◯議長(桜本広樹君)関連質問を打ち切ります。  これをもって、乙黒泰樹君の一般質問を打ち切ります。  暫時休憩をいたします。                                          午後三時四十五分休憩       ───────────────────────────────────────                                          午後四時零分再開議 59 ◯副議長(杉山 肇君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  発言の通告により、杉原清仁君に二十分の発言を許します。杉原清仁君。       (杉原清仁君登壇)(拍手) 60 ◯杉原清仁君 自由民主党新緑の会の杉原清仁です。本年三月に一期生五名により新会派、自由民主党新緑の会の設立後、初めての一般質問となります。  会派名のとおり、これからも新鮮な感覚で県政諸課題に臨み、県民の福祉向上に粉骨砕身努めてまいる所存です。  まず初めに、新型コロナウイルス感染症に感染し、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、治療と感染拡大防止のため、昼夜を問わず御尽力されている全ての県民の皆様に、県民の一人として心からの敬意を表します。  本県においては、このたびの感染急拡大において、ひと月当たり過去最高の陽性患者数を記録するなど、県内医療体制の逼迫度合いが急激に加速しました。  こうした中、長崎知事におかれましては、病床の増床、宿泊療養施設の増設と機能拡大、退所後ケアの実施など、感染症対策を矢継ぎ早に打ち出され、医療提供体制を死守すべく、全力を傾けてこられたことに、深甚なる敬意を表するものであります。  また、知事は先月、県民が前向きな気持ちになれ、明るい笑顔を取り戻せるようにと、包括的なリカバリーメニューの策定を表明されました。  コロナ禍の終息が見通せず、先行きに対する事業者の不安が募る中にあって、まことに時宜にかなった判断であると敬服した次第であります。  私も、今は県民のために希望の布石を打つべきときという知事の考えに賛同し、本県が大いなる反転攻勢に打って出られるように、その確固たる礎を築くため、知事とともに全力を傾注していく覚悟であります。  最後に、昨日、私を含め十八名の議員の連名により、県有地に係る新たな特別委員会の設置について、議案を提出いたしました。  私どもの提案こそが議会にとって必要なものと考えておりますが、現在、県が検討中の県有地の貸し付け、とりわけ効率的な運用と高度活用につきましては、県民の利益に直結する大変重要な課題であると認識しております。  知事におかれましては、今後も議会と丁寧な議論をしていただくことを強く希望し、以下、質問に入ります。  初めに、デジタルトランスフォーメーションの今後の進め方について伺います。  デジタルトランスフォーメーション、すなわちDXは、単なるデジタル技術の導入ではなく、ユーザーの使いやすさを中心に、データとデジタル技術を活用して、社会のニーズに対応した新しいサービスやビジネスモデルを生み出すことであると言われてます。  DXが緒についたばかりの現時点においては、県民の皆様からデジタル技術を活用したサービスがあっても、利用しにくいという声をお聞きすることが多く、こうした声に丁寧に対応する必要があると思います。  その上で、DXの本旨であるデジタル技術を活用した付加価値の高い新サービスやビジネスモデルを生み出していくためには、日々進化するデジタル技術を積極的に活用していく必要があります。  私は、デジタル技術がもたらす恩恵を多くの県民が、暮らしや産業の中で享受できる社会を構築していくためには、最新技術を活用した新たなソリューションの導入や、データの利活用による生産性の向上など、専門的な知見を活用しながら、時宜に適した取り組みを展開することこそが大変重要であると考えます。  県では、専門家から成るアドバイザリーボードを立ち上げたことは承知しておりますが、今後どのように活用し、DXを推進していくのか、伺います。  次に、介護ロボット・ICTの導入支援について伺います。  認知症高齢者数や在宅ひとり暮らしの高齢者数が過去最多を更新するなど、今後、介護サービスの需要が一層高まっていくことが見込まれる中、県が掲げる介護待機者ゼロ社会の実現のためには、ショートステイの特別養護老人ホームへの転換など施設整備とあわせ、そこで働く人材の確保も必須となります。  厚生労働省の推計によると、二〇四〇年には介護職員が全国で約六十九万人、本県においては千四百二十四人が不足するものと見込まれております。  加えて、介護職員の高齢化も進んでおり、介護職員全体で六十歳以上の介護職員の割合は既に二割を超え、年々増加傾向にあります。  介護労働安定センターの令和二年度介護労働実態調査によると、介護職員の働く上での悩みとして、人手が足りない、身体的負担が大きいなどの声が上げられており、介護職員の安定的な確保・定着を図っていくためには、職員の業務負担の軽減に向けた取り組みが必要不可欠であります。  こうした中、近年、介護現場においても、さまざまなロボットやICTの活用が見られるようになりましたが、こうした機器の導入は、職員の身体的負担の軽減や業務の効率化に大変有効なものであり、普及が進むことに大いに期待しているところであります。  介護人材の確保・定着のため、県内の介護事業所においても、介護ロボットやICTの導入を積極的に進めていくことが重要と考えますが、県の取り組みについて伺います。  次に、林業経営体の育成について伺います。  ことしに入り、米国や中国での木材需要の拡大などに起因して、世界的に需給バランスが崩れたことで、建築用の木材が入手しづらくなる「ウッドショック」と呼ばれる現象が生じています。  木材の多くを輸入に頼っている我が国では、その影響を大きく受け、輸入製品の供給不足と価格の高騰が顕在化しています。  一方で、戦後から高度経済成長期にかけて積極的に造成された県内の人工林の多くが、現在、本格的な収穫期を迎えています。  私は、ウッドショックといった状況が今後生じないようにするためにも、全国有数の森林県である本県が率先して、この資源を循環利用する仕組みをつくり、輸入木材を県産木材に置きかえていく必要があると考えます。  このためには、木材の生産から加工・流通に至る全ての事業者による連携した取り組みが必要となりますが、その主役となるのは、森林の伐採・再造林、さらにはその後の保育を担っている林業経営体だと思います。  しかしながら、県内の経営体の八割が従業員十人以下と小規模・零細で、林業従事者の年間平均給与は約三百四十万円と全産業平均を九十万円下回っているなど厳しい状況であり、林業をしっかりとしたなりわいとしていくためには、林業経営体の経営改善や収益力の向上など、経営基盤の強化が急務であります。また、経営体を支える人材の確保・育成もあわせて進めていかなければならない重要な課題だと考えます。  林業の技術は、植林から伐採まで幅広く、一人前になるまでに多くの時間を要し、生産性を向上していくためには、常に最新の技術を身につけていく必要があります。  こうした中、私は、来年四月に開講される農林大学校森林学科が、担い手の確保・育成の切り札になるものと大いに期待しているところです。  ウッドショックは、負の影響だけでなく、県内の森林資源の活用に目が向けられる契機ともなっています。  そこで、県では、充実した人工林資源の循環利用に向け、林業経営体の育成にどのように取り組んでいくのか、伺います。  次に、観光産業における需要喚起対策について伺います。  全国的に新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、県では、先月の臨時特別協力要請の発出時より、県民限定の宿泊割の販売を停止するとともに、県内の主な観光施設や美術館等への休業要請や県外からの観光目的での来県自粛を呼びかけるなど、できる限りの人流抑制対策を行ってきました。  首都圏からの観光客が約六割を占める本県では、八月は夏休みを利用した家族旅行など、県内各地の観光地がにぎわう、まさに書き入れどきであり、この時期における観光自粛は観光産業にとって致命的でありました。  実際に事業者の方々の落胆ぶりは甚だしく、声をかけるのも気が引ける思いでありました。
     繰り返される感染拡大に翻弄されている観光産業ですが、一方で明るい兆しがないわけではありません。  国や地方自治体によるワクチン接種の加速化により、既に全国民の半数以上が二回目のワクチン接種を終えており、接種済みの人々の多くに、旅行に行きたいという希望があることが、さまざまな調査から明らかになっております。  知事は先月、県内産業に対する大型の経済対策の実施を表明しており、多くの事業者はこれに注目し、感染を抑制しながらの経済回復に期待を寄せております。  そこで、県では、このような事業者の期待に応えるべく、観光産業において、どのような需要喚起対策を実施するのか、伺います。  次に、モモせん孔細菌病への対応について伺います。  地球温暖化の影響により、各地で気象災害が頻発しています。  本県においても、大雨や台風による農作物の収穫量や品質の低下、病害虫の多発などの被害が発生しており、近年大きな被害を及ぼしたモモせん孔細菌病の多発も、気候変動が原因の一つであると考えます。  特に、昨年及び一昨年は、たび重なるひょうや大型台風の風雨により、モモせん孔細菌病が多発し、本県桃産地の維持が危ぶまれる深刻な状況となりました。  県では、関係市町やJAと連携し、いち早く秋からの県下一斉防除に要する経費への助成や、防除マニュアルによる対策の徹底を指導しました。  その結果、二年続けて大きなダメージを受けた私の地元笛吹市を初め、県下の桃産地全域で、本年は果実への被害がほとんどなかったと聞き、安堵しております。  しかし、本病は秋の台風等の強風や雨により、病原菌が増殖、越冬して翌年発生すると言われており、今後の天候次第では、再発する可能性があると懸念しています。本病の発生防止対策を徹底することは、フルーツ王国やまなしの維持・発展に極めて重要であると考えます。  そこで、県では、モモせん孔細菌病への対応にどのように取り組んでいくのか、伺います。  次に、4パーミル・イニシアチブの推進について伺います。  地球温暖化の抑制が人類の喫緊の課題となる中、本年四月、菅総理は地球温暖化対策本部の会合において、温室効果ガス排出量を二〇三〇年までに、二〇一三年度比で四六%削減するという目標を表明しました。  農業分野でも、この目標を達成するため、農林水産省は五月に、みどりの食料システム戦略を策定し、カーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーションを推進する方針を示したところです。  このような中、県では、脱炭素社会の実現に向け、昨年四月より、4パーミル・イニシアチブの取り組みを全国に先駆け進めており、国の戦略にも合致したこの取り組みに大いに期待しております。  県では、昨年以降、4パーミル・イニシアチブの取り組みとして、農業関係者等への研修会の開催や、メディアによる情報発信を積極的に行っており、私も地元の農家の皆様の意見を聞いたところ、その理解は着実に広がっていると感じております。  先月には、本県の取り組みが認められ、ヤフージャパンの企業版ふるさと納税の寄附先に本県が選ばれたと聞き、全国的にも高い評価を受けることができたあかしと感じました。  地球温暖化対策に資する4パーミル・イニシアチブの取り組みを、本県で今後一層推進するためには、より多くの県民の皆様に、この取り組みの意義を御理解いただくとともに、土壌中に炭素をより効率的に貯留する方法の普及や、剪定枝を炭にする際の器具の購入支援など、農家がこの取り組みを導入しやすくしていくことが必要と考えます。  そこで、今後の4パーミル・イニシアチブを実践する農家の拡大に向け、県ではどのような支援を行っていくのか、また、この取り組みは県外にも広く普及させていくことが重要と考えますが、県ではどのように推進していくのか、御所見を伺います。  次に、改正種苗法への対応について伺います。  近年、国が開発したブドウ「シャインマスカット」や山形県が開発したサクランボ「紅秀峰」など、国内で開発された優良な品種が海外に持ち出され、他国で増殖、販売されている事態が起きています。  本年四月には種苗法の一部が改正され、国内登録品種の海外への持ち出しを制限することが可能となったため、本県が育成した登録品種は全て海外への持ち出しを禁止したとお聞きしました。  このような中、先月、石川県で開発したルビーロマンや本県が開発したジュエルマスカットに似たブドウが韓国で栽培・販売されているという報道があり、県が育成した登録品種の海外流出に不安の声が上がっています。  本県の重要な知的財産である登録品種を、しっかり保護するためには、苗木の不正流出や海外への持ち出しを抑止するだけでなく、海外での栽培や販売を防止することも重要であると考えます。  また、種苗法の改正前には、農家による自家増殖が認められていましたが、法改正に伴い、来年四月から登録品種を自家増殖する際には、育成者の許諾が必要となります。  本県では、果樹試験場が開発したブドウのブラックキングや甲斐ベリー7、桃の夢桃香など、多くの高品質なオリジナル品種が種苗登録されており、今後これらの生産がふえ、産地化されることを私も期待しております。  しかし、県が登録した品種の自家増殖に許諾料の徴収等を行うとすれば、農家に対し大きな負担となり、生産拡大の妨げになることも懸念されるため、県は農家やJAの意向を踏まえ、負担とならないよう検討していくとの考え方を示しています。  そこで、県登録品種の海外への不正流出に対し、県として今後どのような対策を実施していくのか、また、県が開発した登録品種に係る許諾料等について、今後どのように対応するのか、伺います。  最後に、笛吹八代スマートインターチェンジと新山梨環状道路とのアクセス強化について伺います。  平成二十九年に開通した中央自動車道の笛吹八代スマートインターチェンジは、峡東地域の新たな玄関口として、観光振興や物流の効率化など、重要な役割を担っています。  また、笛吹川を挟んで西側では、新山梨環状道路東部区間の整備が急ピッチで進められており、中部横断自動車道や、今後整備が進むリニア中央新幹線とあわせ、近い将来、高速交通ネットワークが形成されようとしています。  この高速ネットワークの効果を県内全域にもたらしていくためには、それぞれを円滑につなぐアクセス道路の整備が必要不可欠であります。  しかし、笛吹市内を見ると、笛吹八代スマートインターチェンジと新山梨環状道路の小石和に計画されているインターチェンジを最短で結ぶ県道甲府笛吹線は、地域の幹線道路でありながら、朝夕の通勤通学の時間帯を中心に、蛍見橋の周辺において、慢性的な渋滞が発生しており、スムーズに通行できない状況であります。  蛍見橋は、昭和三十四年にかけられて以降、交通量が増加してきたことなどに伴い、幾たびかの補強・補修や車線数をふやすなど対策を行いつつ、現在の姿となっております。  しかし、川の流れに河床が削られ、橋脚の基礎が徐々にあらわれてきている状況を鑑みると、洪水の発生時には住民の避難、救援を初め、物資供給のために安全な通行の確保が困難になるのではないかと懸念されます。  今後、新山梨環状道路が開通いたしますと、この県道は交通量の大幅な増加により、さらに重要性が増すと考えられることから、その機能を強化していく必要があると考えます。  現在、県では、この県道の小石和交差点付近の狭隘区間について拡幅事業を進めていると承知しておりますが、笛吹八代スマートインターチェンジと新山梨環状道路とのアクセス強化について、県の御所見を伺います。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 61 ◯副議長(杉山 肇君)杉原清仁君の質疑・質問が終わりました。  これより、当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 62 ◯知事(長崎幸太郎君)杉原議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、感染急拡大期における医療提供体制の増強の取り組みに高い御評価を賜るとともに、反転攻勢に向けた礎を築くため、私とともに全力を傾注していただけるとの力強いお言葉を賜りました。  傷んだ生活と経済を復活させ、その先の跳躍に向けて私と同じ気持ち、同じ心でお取り組みいただけることに感謝を申し上げます。  また、議員御指摘の県有地に関する問題についてですが、私としては、県民本位での御議論、御審議は、これを大いに歓迎すべきものと考えております。  当然のことながら、県としても適正賃料という大原則のもと、県有地の効率的運用や高度活用、さらには社会政策上必要とされる賃料減免のあり方などについて、今後ともしっかりと議論をしてまいります。  県有地の活用高度化を掲げた昨年来、ともすれば山梨県内における議論は、それ全て現在、甲府地裁において係争中の特定企業と県との争いであるかのように誤解され続けてまいりました。  しかしながら、県有地を含む県民資産の活用高度化は、山梨県が持つ有限の資源について、その利用価値を最大限に引き出し、特定の利益ではなく、県民全体の利益を確保する視点で活用を図ることであります。  そこにおいては、公正で透明なルール、すなわち既得権益の議論なき恣意的追認ではなく、ここ山梨という豊穣の地がさらに豊かになり、全ての県民にその利益と豊かさが還元されるためのルールがなければなりません。  いずれにいたしましても、今議会におきまして、それぞれのお立場から県有地に関する議論の枠組みについて、積極的な御議論が交わされることは、公正で透明なルール形成、県民全体の利益のための県民資産の活用に向けた重要な一歩になると考えます。  県有地の活用高度化の議論に当たりましては、まずはルールの基本的な考え方をお示しすることが、行政の役割であります。  この点、山中湖畔県有地につきましては、既に同地域で歴史的に事業を展開されておられる富士急行株式会社に対し、議論への参加を求めてまいりました。  しかしながら、本日までに同社からは、本県とは係争中であることを理由に、議論への御参加の意向を得られておらず、またその後、さらに会合出席がかなわない場合には、文書による御意見を賜れないかと重ねて呼びかけをしておりますが、なかなか芳しい御回答をいただくに至ってはおりません。  私としては、今回の議会での御議論も踏まえ、県有地活用高度化などのあり方につきましては、行政として責任を持って検討作業を加速することとし、今後、全員協議会の場において、議員各位の御意見もいただきながら、県民利益に最も資する素案を取りまとめ、できるだけ早期に議会にお諮りしたいと考えております。  今後とも、県民の皆様が将来に明るい展望を描けるよう、経済対策を初め、さまざまな施策に積極果敢に取り組んでまいる所存でありますので、御支援、御協力を賜りますようお願いし、以下、答弁に入ります。  初めに、デジタルトランスフォーメーションの今後の進め方についてです。  DXの推進に当たりましては、本県産業の高付加価値化による県内経済の活性化や地域課題の解決、そして全ての県民にデジタル化の恩恵を行き渡らせ、誰も取り残さない人に優しいデジタル社会を構築していくことが極めて大切であると考えております。  このためには、AIなどのデジタル技術や官民それぞれが保有するデータの効果的な利活用、デジタル格差対策などを通じまして、社会全体のDXを推進していく必要があります。  県では、これに対応するため、私を本部長とするDX推進本部に加え、本年四月にDX推進室を設置し、全庁的な推進体制を確立するとともに、民間の専門家から成るアドバイザリーボードを設置し、随時助言を受けられる体制といたしました。  この体制のもと、音声認識技術を活用した高齢者にも使いやすいタブレットアプリの開発を支援しているところであり、オンラインでの買い物、ビデオ通話による見守り、あるいは遠隔医療などのサービスを利用可能とすることで、山間地域でも安心して暮らしていける環境の実現につなげてまいります。  また、施設園芸が盛んなオランダでは、データを駆使した農業で、例えばトマトの収穫量は日本の約五倍にのぼることから、本県においてもCO2や光などの環境データを最新技術で解析し、施設キュウリやシャインマスカットなどの生産性を飛躍的に向上させるデータ農業に取り組んでいるところです。  さらに、AIを活用し、問診をコンピューターが補助することで、医師の負担軽減を図るための事業を支援したり、外国語を含む観光に関する問い合わせに自動応答するシステムを導入し、観光客の利便性を高めるなど、さまざまな取り組みを進めることとしております。  また、社会全体のDXの推進には、データの利活用も含め、官民連携が欠かせないことから、山梨県地域ICT推進協議会で研修会などを開催し、新たな業務改革や事業展開を可能とするデータ連携の重要性や、それを担う人材育成などについて、共通理解を図っているところであります。  今後は、こうした取り組みを一層推進するとともに、さらに幅広い分野でデジタル技術の活用が進むように、アドバイザリーボードを活用する中で、全庁一丸となってDXの推進に努めてまいります。  次に、観光産業における需要喚起対策についてです。  県では、回復が見込まれます観光需要を確実に取り込み、反転攻勢につなげていくため、今なすべきことを施策方針として取りまとめ、所要の経費を九月補正予算に計上しております。  まず、観光客の関心の高い食について、新たなメニューづくりを進めるとともに、県内各地で県産食材を使った創作料理が楽しめるレストランウイークを開催し、本県の食の魅力を県内外の皆様に堪能していただくこととしております。  また、冬季における滞在コンテンツの充実を図ることとし、雪の青木ヶ原樹海ツアーやスノートレッキングなど、冬の山梨が存分に楽しめるアクティビティの開発を促進してまいります。  特に、近年人気が高まりつつあるアウトドアサウナにつきまして、首都圏に近く豊かな自然を有する本県は、より多くのサウナーの呼び込みが期待できることから、キャンプ場などに施設を整備する際の支援を行うなど、受け入れ環境の充実を図ってまいります。  さらに、こだわり感を求める旅行ニーズに応えるため、旅行会社による本県ならではのプレミアムツアーの造成・販売を支援し、誘客の拡大につなげることとしております。  こうした取り組みによりまして、この冬の需要喚起はもちろんのこと、将来においても「冬も楽しめる山梨」として親しまれるよう、長期的な観光の底上げにもつなげてまいりたいと考えます。  このほか、現在、新規受付を停止しておりました県民限定の宿泊割につきまして、十月一日から再開するとともに、より多くの方の利用が得られるように、近隣県からの利用も可能とする制度改正を国に強く働きかけてまいります。  今後、感染症対策と経済の両立を目標としながら、今回策定いたしました施策方針を着実に遂行することにより、本県への旅行需要を喚起し、観光産業の持続的な発展につなげてまいります。  次に、モモせん孔細菌病への対応についてです。  モモせん孔細菌病は、令和元年から二年連続で大きな被害をもたらしたことから、本県において本病を根絶させることは、日本一の桃産地を維持・発展させていくために極めて重要であります。  県では、これまで二年間、産地全域で一斉防除を徹底するため、秋からの薬剤防除に要する経費の助成や、防除マニュアルの桃栽培農家への全戸配布、講習会や各種広報による周知・技術指導など、関係市町やJAと連携し、防除対策を徹底してまいりました。  この結果、産地の大多数で秋からの薬剤防除が実施され、さらに農家の皆さんがマニュアルに基づき、感染源となる枝の除去などの対策を徹底したため、本年は果実への被害はほとんど見られませんでした。  また、本県では、いち早く被害を最小限にとどめることができましたが、他県の桃産地では本病の発生がいまだに続き、生産に重大な影響を及ぼしていると聞いております。  この病気は、一度発生すると防除が極めて困難な病害であり、今後台風による風雨などによりまして、再び園内に病原菌が蔓延し、翌年の発生源となるおそれがあります。  このため、農家に病原菌の密度が低い本年に防除を徹底していただけるよう、秋からの薬剤防除への助成に要する経費を九月補正予算に計上したところであり、関係市町やJAと緊密に連携をして、来年春の終息宣言を目指してまいります。  今後も引き続き、生産安定に努め、農家の皆さんの所得向上を図り、全国に誇る桃産地の維持・発展に万全を期してまいります。  最後に、4パーミル・イニシアチブの推進についてです。  地球温暖化の抑制に貢献する4パーミル・イニシアチブの取り組みを推進するためには、農家の皆さんへの理解を一層拡大しながら、この取り組みを容易に導入できるよう支援するとともに、生産された果実を新たなブランドとしてPRすることが重要であると考えます。  このため、県では、現地実証や研修会によりまして、農家の皆さんの理解を深め、取り組みの一層の普及・定着を図る一方で、県内全ての小中学生に夏休みの宿題の素材として提供したほか、PR動画を作成し、消費者への理解を促したところです。  また、この取り組みの導入による農家負担を軽減するため、本年度から、やまなし未来農業応援事業を活用し、剪定枝の炭化に用いる専用の器具購入に必要な経費を助成することとしております。  加えて、本年五月には、この取り組みにより生産された果実などを、脱炭素社会に貢献する新たなやまなしブランドとしてPRする4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度を制定し、現在、主要果樹産地のJAを含む十三の個人・団体が認証を取得したところです。  この認証制度とロゴマークを活用し、七月には、認証を受けたJAの桃などをJR渋谷駅の地下街で本県の取り組みを紹介しながら販売したところ、テレビ東京の「ワールド・ビジネス・サテライト」で全国に放映されるなど、多くのマスコミに取り上げられております。  今後も、マスコミなどの各種メディアを通じまして、本県の取り組みを消費者へわかりやすく伝えることにより、県産果実の優位性、おいしさの先を行く新たなブランド価値を高めてまいります。  さらに、私が呼びかけ発足をした4パーミル・イニシアチブ推進全国協議会は、当初の会員数十六から現在二十八と増加しており、今後も国内外に向け情報を発信し、この取り組みを一層拡大させ、我が国における脱炭素社会の実現を目指してまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。 63 ◯副議長(杉山 肇君)福祉保健部長、成島春仁君。       (福祉保健部長 成島春仁君登壇) 64 ◯福祉保健部長(成島春仁君)杉原議員の介護ロボット・ICTの導入支援についての御質問にお答えします。  介護事業所の慢性的な人材不足の中、職員の負担軽減を図るためには、議員御指摘のとおり、介護ロボットやICTを積極的に導入する必要があります。  そのため、県では、平成二十九年度から介護ロボットを、令和二年度からICT導入に対して助成するとともに、昨年度は、補助上限額の引き上げや補助対象となる機器の拡充を行ったところであります。  これまでに、介護ロボットについては三十五施設、百六十八台、ICTの導入につきましては二十一施設に対しまして支援してまいりました。  導入した施設からは、介助時間の短縮のほか、入所者の事故発生リスクの低減、職員の精神的な負担の軽減が図られたとの声が聞かれております。  今後も、好事例を介護実習普及センターの講座や、各種研修会を通じて他の事業所へ紹介することにより、介護ロボットやICTが効果的に活用されるよう取り組んでまいります。  以上でございます。
    65 ◯副議長(杉山 肇君)林政部長、金子景一君。       (林政部長 金子景一君登壇) 66 ◯林政部長(金子景一君)杉原議員の林業経営体の育成についての御質問にお答えいたします。  本県の充実した人工林資源の循環利用を進めていくためには、林業経営体の経営基盤を強化し、林業を魅力ある産業に押し上げていく必要があります。  このため、県では、経営計画の策定や複数の経営体による事業の共同化など、経営の合理化に取り組む意欲ある経営者に対し、専門家を交えた個別指導や国と連携した運転資金の融資などの支援を行っています。  さらに、生産性を高めるための高性能林業機械の導入や、作業道整備への助成を初め、県森林総合研究所における省力化技術の開発、普及などにより、経営体の収益力向上を支援しているところです。  また、経営体を支える担い手を確保・育成していくため、来年四月に開講する農林大学校森林学科を人材育成の拠点と位置づけ、学生の教育の場としての機能に加えまして、林業就業者がICTなどの新たな技術を習得するスキルアップの場としてまいります。  今後、こうした取り組みをさらに加速することにより、ウッドショックによるピンチを、本県の豊かな森林資源の活用を進めるチャンスとして生かし、林業の成長産業化につなげてまいります。  以上でございます。 67 ◯副議長(杉山 肇君)農政部長、坂内啓二君。       (農政部長 坂内啓二君登壇) 68 ◯農政部長(坂内啓二君)杉原議員の改正種苗法への対応についての御質問にお答えいたします。  海外において、本県の重要な知的財産である果樹の品種を保護することは、本県の利益を守り、やまなしブランドを保護するために極めて重要であります。  このため、県では、ブラックキングや夢みずき等について、中国と韓国で品種登録を進め、現在両国で出願が受理されたところであり、今後は、甲斐ベリー7等についても登録を行ってまいります。  また、ブラックキングについては、品種登録とあわせ海外六カ国で商標登録の手続を行っており、県産果実のブランド保護を強化してまいります。  次に、改正種苗法で許諾が必要となった自家増殖について、県内農家やJA、果樹の主産県にアンケートを実施したところ、農家やJAは、許諾料や手続に関して不安があること、他県の多くは許諾料を徴収しない方向で検討していることが明らかになりました。  また、先月発表された国の研究機関が育成した品種では、自家増殖に対し許諾料は徴収せず、多くの品種で手続も簡略化されることが示されました。  農家が自家増殖を行う理由は、苗木供給量が十分でない場合にこれを補うことや、みずからの園から優良なものを選抜・増殖して品質を向上させるためであり、このような農家の創意工夫により、早期産地化と競争力向上が図られてきたところです。  こうした状況も踏まえ、本県が育成した品種の自家増殖については許諾料を徴収せず、許諾手続については、第三者への譲渡禁止を定めた誓約書の提出を求めている例を参考に簡略化し、可能な限り農家の負担を軽減してまいります。  以上でございます。 69 ◯副議長(杉山 肇君)県土整備部長、大儀健一君。       (県土整備部長 大儀健一君登壇) 70 ◯県土整備部長(大儀健一君)杉原議員の笛吹八代スマートインターチェンジと新山梨環状道路とのアクセス強化についての御質問にお答えいたします。  県道甲府笛吹線は、整備中の新山梨環状道路の小石和インターチェンジと中央自動車道笛吹八代スマートインターチェンジをつなぐアクセス道路です。  両インターチェンジの間には、幅員が狭い区間や笛吹川を渡る蛍見橋がボトルネックとなっていることから、新山梨環状道路の供用を見据えて早急な整備が必要です。  このうち、小石和地内の幅員が狭い延長百六十メートル区間につきましては、拡幅工事を進めてきたところであり、今月末に工事が完成し供用する予定でございます。  一方で、蛍見橋は、建設から約六十年が経過して老朽化が著しく、現行の耐震基準も満たしていないことから、昨年度からかけかえの検討を行っております。  かけかえに当たりまして、両岸の橋詰めで複数の道路が交差していることから、新たな交差点の検討や蛍見橋と新たな橋の橋脚が笛吹川の流れの阻害とならないように、位置や構造形式の検討が必要となります。  今後は、これらの検討や関係機関協議を進め、橋梁かけかえ計画を含む概略ルートの選定に向けて、鋭意取り組んでまいります。  以上でございます。 71 ◯副議長(杉山 肇君)当局の答弁が終わりました。  杉原清仁君に申し上げます。残り時間がありません。  これより、杉原清仁君の一般質問に対する関連質問に入ります。  関連質問はありませんか。       (「なし」と呼ぶ者あり) 72 ◯副議長(杉山 肇君)関連質問を打ち切ります。  これをもって、杉原清仁君の一般質問を打ち切ります。  暫時休憩いたします。                                          午後四時四十四分休憩       ───────────────────────────────────────                                          午後五時十五分再開議 73 ◯議長(桜本広樹君)休憩前に引き続き会議を開きます。  報告をいたします。  浅川力三君外十七人から、議第十八号議案について、お手元に配付のとおり提出がありました。  お諮りいたします。本件を日程に追加し、直ちに議題とすることに御異議ありませんか。       (「異議なし」と呼ぶ者あり) 74 ◯議長(桜本広樹君)御異議なしと認めます。よって、議第十八号議案を日程に追加し、直ちに議題とすることに決定いたしました。  議第十八号議案を議題といたします。  宮本秀憲君から上程議案に対する提案理由の説明を求めます。宮本秀憲君。       (宮本秀憲君登壇) 75 ◯宮本秀憲君 議第十八号議案、県民のための県有地の貸付及び賃料に関する特別委員会設置の件について、提案理由を述べます。  県有地の貸し付けについては、既存の適法な賃貸借関係への配慮、被災者への支援、その他社会政策上の必要等の理由から行う賃料の減免等公平な貸し付けのルールを定める必要がありますが、裁判で係争中の県有地については、裁判の結果を待つ必要があります。したがって、当該地を除く県有地について特別委員会を設置し、一元的に調査しようとするものです。  この特別委員会への付議事件については、裁判での係争中の県有地以外の県有地の貸し付け及び社会政策上の必要等の理由から行う賃料の減免に関することといたします。  また、調査期限については、令和四年二月定例会の最終日とし、閉会中も継続して調査するものといたします。ただし、令和四年二月定例会の最終日に調査未了の場合は、改めて期限を設定することといたします。  以上が議案の概要ですが、さきに提案された議第十七号との相違点を述べさせていただきます。  議第十七号の提案理由に記載のとおり、県民資産について効率的な運用や高度活用に関する検討を執行部側が始めたことは事実でありますが、いまだ議論が緒についたばかりであり、その具体的なゴールも設定されていないと聞いております。  にもかかわらず、今議会で特別委員会を設置して何を議論したいのか、その議論の対象が余りにも不明確であり、県民には理解できないのではないでしょうか。  一方、私どもの案では、貸し付けのルールや賃料について議論することとしていますが、この点については既存の賃貸借契約に影響を考慮しますと、今後、執行部として遅かれ早かれ、今年度中には議論を進め、結論を出していかなければならないものです。  裁判中の係争地を除いたさまざまな条件の県有地について、賃料の減免のルール化などターゲットを絞ることで、県民全体の財産である県有地の貸し付けについて、県民の代表として今なすべき議論を行っていきたいと考えております。  以上、提案理由の説明といたします。 76 ◯議長(桜本広樹君)宮本秀憲君の提案理由の説明が終わりました。       ─────────────────────────────────────── 77 ◯議長(桜本広樹君)以上で本日の日程は全部終了いたしました。  明九月三十日、午後一時、会議を開き、一般質問を行います。  本日はこれをもって散会をいたします。                                          午後五時十九分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Yamanashi Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...